せっかく苦労して仕事の手順を説明するマニュアルをつくったのに、読んでもらえない……。こんな経験ありませんか? そんな場合におすすめなのが動画マニュアル。紙に比べて分かりやすく、作成用の便利なツールもそろっています。
マニュアルの作成というのはかなり面倒なものです。入門書として有名な「できるシリーズ」(インプレス刊)は、たくさんのスクリーンショットを使いながら操作手順を詳しく紙面で再現しています。非常に役に立つのですが、これを個人で作るとなると難しいですよね。にもかかわらず、上司からあっさりと「手順をマニュアル化してほしい」という指示を受けることはありませんか?
かつて筆者も「ネットワークプリンターで印刷する手順」とか、管理画面を初めて見た人でも利用できる「管理画面操作手順」などを作製した記憶があります。
当時はスクリーンショットを加工するまともなツールもなく、マニュアルは「Microsoft Word 97」で作った記憶がありますが、非常にホネが折れました。普段、ほぼ無意識でやっている1つひとつの操作手順を画像に記録していくだけで膨大な数になります。
それだけの苦労をして作ったマニュアルですが、職場ではなかなか読んでもらえませんでした。その理由は簡単です。マニュアル作成者がその場にいるわけですから、分からないときには直接呼んだ方が早いわけです。おかげで仕事が増えてしまいました。他の部署からも呼び出されるようにもなりました。これは苦い経験でした。
当時の苦々しい経験から何度も感じたのが「教えているこのシーンを動画に残せれば!」ということでした。聞く方にとっては「初めて」で「分からないこと」ばかりなのですが、教えている方にとってはまったく同じ内容を何百回と説明しているような気がします。
だからこそのマニュアルなのですが、紙ではどれほど細かく記載しても「動き」がないために分かってもらえないことが残りました。その「動き」を補足するために細かく記載すると、今度は詳しくなり過ぎて読む気が殺がれてしまいます。
そこで、まずは操作手順を質疑応答の形で録音してみました。すると妙に詳しかったマニュアルの説明が、わずか5分前後で済むことが分かりました。ますます動画にしたくなり、実家から借りてきたホームビデオに三脚を付けて撮影しました。筆者が操作を説明するだけの3分くらいの動画ができました。
この動画は非常に好評で、何よりうれしかったのは「質問の呼び出し」が100分の1くらいに減ったことでした。そして、紙のマニュアルは事実上廃棄されてしまいました。
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