労働基準監督署への届出事務の中で大きな位置を占めるのが、労働者災害補償保険(労災保険)に関する法定事務です。
労災保険法は、業務上の事由または通勤による労働者の疾病や負傷、それを原因とする障害、死亡等に対して補償(保険給付)を行なうことを目的として、1947年に制定されました。
労災保険は、原則として、労働者を雇用するすべての事業所に適用されます(国の直営事業などを除きます)。
労災保険は政府が管掌し、労災保険に関する実務は労働基準監督署が行なっています。
また「特別加入制度」により、中小企業の事業主や一人親方なども労災保険に加入でき、保険料は別途定められています。
労働基準監督署への届出事務には、労災保険関係の法定事務以外にも労働基準法などで定められているものがあります。たとえば、常時使用する労働者が事業所単位で10人以上の場合は、労働基準法に基づいて定めた就業規則を労働基準監督署に届け出ることになっています。
また、時間外労働(いわゆる残業)の発生が見込まれる事業所では、労働基準法36条に基づき、労使協定(書面)を締結し、労働基準監督署へ届け出ることが必要とされています。
雇用保険の制度は、1947年制定の「失業保険法」からスタートしました。
失業保険法は、労働者が失業した場合などに必要な保険給付を行ない、労働者の生活と雇用の安定を図ることが目的でした。
その後、労働者の就業の安定や失業の予防、雇用拡大や能力開発などを盛り込んだ「雇用保険法」としてリニューアルされ、現在に至っています。
雇用保険も、労災保険と同様、原則として、労働者を雇用するすべての事業所に適用されます(国の直営事業などを除きます)。
また、雇用保険は政府が管掌し、雇用保険に関する実務は公共職業安定所(ハローワーク)が行なっています。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.