総務の代表的な仕事、「法定事務」を知る新人・若手担当者のための総務の仕事術(3/3 ページ)

» 2014年12月17日 06時00分 公開
[企業実務]
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法務局への届出事務について

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 会社の信用維持を図るとともに、取引の相手方が安心して取引できるように、すべての法人が会社法等で規定された重要事項を商業登記簿に記載し、公開する手続きが定められています。

 この登記すべき事項には、すべての会社が必ず登記すべき事項と、株式会社が定款などで定めている場合等に登記すべき事項があります。

 すべての株式会社が登記しなければならない代表的な事項は次のとおりです。

 なお、会社法で定める定款の絶対的記載事項(定款に記載がないと定款全体が無効になる事項)と少し異なっていますので、注意してください。

  1. 商号
  2. 本店・支店の所在地
  3. 目的
  4. 資本金の額
  5. 発行可能株式総数
  6. 発行済株式の総数ならびにその種類・数
  7. 取締役の氏名
  8. 代表取締役の氏名・住所
  9. 公告方法についての定め(定款に公告方法の定めがない場合には官報で公告する旨)

 法務局への届出事務は、商業登記簿に記載された事項に変更が生じた場合に発生します。たとえば、本社の移転時や定時株主総会において取締役の就・退任があった場合などです。

税務署への届出事務について

 決算時の法人税の確定申告事務を税理士に委任している会社でも、給与等の所得税に関する法定事務は、自社内で処理していることが多いと思われます。

 社員に給与を支払ったり、税理士や社会保険労務士に報酬を支払った場合には、支払いの都度、所得税と復興特別所得税を差し引き、翌月10日までに所轄の税務署に納めることが義務付けられています。この手続きを「源泉徴収」といい、源泉徴収を義務付けられている者を「源泉徴収義務者」と呼びます。

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 源泉徴収義務者には、所得税の納付事務だけでなく、給与の支払いを受けている者の所得税の差額調整についての年末調整事務が年末に発生します。

 なお、源泉所得税の納期限について、労働者10人未満の源泉徴収義務者には「納期限の特例」という制度があります。所轄税務署に届出をして承認を受ければ、源泉徴収税額を年2回にまとめて納付することができます。

著者プロフィール:森口ひろみ

株式会社 ファースト・アシスト代表取締役。社団法人日本産業カウンセラー協会 産業カウンセラー。1969年4月大西公認会計士事務所創立とともに入所。1971年より同事務所発展による事業拡大により総務職に就く。総務主任、総務課長、総務部長を経て、1989年10月株式会社第一会計設立とともに取締役総務部長に就任。2002年4月株式会社ファースト・アシスト代表取締役に就任。現在は総務職としての経験を生かし、クライアント企業の中期経営計画の策定、間接部門の確立・コンピテンシー人事制度の導入などを中心としたコンサルタント活動のかたわら、講演活動や女性経営者としてさまざまな異業種交流団体での活動を行っている。


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