自分を情報のフィルターとする知的生産の技術とセンス(1/2 ページ)

日常に出会った言葉や新聞記事、不思議に思ったことなど、心の琴線に触れたものを記録しておくことで自分自身をフィルターのようにすることができます。「発見の手帳」とは、自分の心と知識で情報をこし取るフィルターとも言えます。

» 2014年12月19日 05時00分 公開
[堀正岳, まつもとあつし,Business Media 誠]

連載「知的生産の技術とセンス」について

本連載は堀正岳、まつもとあつし著、書籍『知的生産の技術とセンス 〜知の巨人・梅棹忠夫に学ぶ情報活用術〜』(マイナビ新書)から一部抜粋、編集しています。

私たちは、かつてなかったほどさまざまな「情報」に囲まれ、日常的な仕事や生活で「知的生産」を行っています。

しかし、私たちが日々生み出している情報は、こういった環境の進化に追いついているでしょうか? 道具や環境が整った今だからこそ「知的生産」のための技術について、あるいは「知的生産」とはそもそもどういうものなのか、その源流をたどる必要が高まっています。

本書では、元祖ライフハックと言っていい、知の巨人・梅棹忠夫氏が提唱した「知的生産の技術」を、できる限り生かせるように再解釈し、周囲にある道具や環境に適用できるようアップデートを試みました。

さあ、「知的生産」という人生の武器を手に入れましょう。


 毎日の発見を記録することは、時間の経過を知的活動の蓄積に変換してくれる効能を持っています。

もしこれが、なんにもかいてなかったら、わたしは毎日大発見をしたような気になっても、じっさいのわたしの知的活動の内容は、何年もまえとおなじところで足ぶみしているのかもしれないのだ。かいておきさえすれば、まえの発見がつぎの発見のためのふみ石になって、しだいに巨大な構築物にまでつみあげることも可能なはずである。
(『知的生産の技術』28

ページ)

 前回のミネラルォーターのラベルが、思想家パスカルの歴史的実験の場と同じだったというのは、単なる印象を、他の知識と結びつけた一例です。

 同じように、日常に出会った言葉やなるほどと思った新聞記事、不思議に思った出来事など、自分の心の琴線に触れた情報を記録しておくことで、流れ去る膨大な情報に対して自分自身をフィルターのようにすることができます。「発見の手帳」とは、自分の心と知識で情報をこし取る、情報フィルターといってもいいのです。

 発見の手帳を作るために、梅棹先生はいくつかのアドバイスを残しています。

(※1)梅棹忠夫プロフィール:日本の生態学、文明学、民族学、情報学といったさまざまな学術分野で功績を残し、大阪万博の企画、その跡地に建つ国立民族学博物館(民博)の初代館長も務めた。『知的生産の技術』ほか、著書多数。(1920年6月13日―2010年7月3日)
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