総務の仕事には、季節に応じて毎年、定例的に行うものがあります。今回は、4〜6月にかけての春の仕事のなかから、新入社員の受入れと株主総会にまつわる法務事務を取り上げます。
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本記事は企業実務のコンテンツ「疑問、悩みを解消! 新人・若手担当者のための総務の仕事術」から一部抜粋・編集して掲載しています。
新卒採用はしたことがない、あるいはこのところない、という会社もあると思いますが、毎年4月に新人が入ってくる会社では、総務の春の仕事として新入社員の受入れと定着に配慮が必要です。
「若年者の離職理由と職場定着に関する調査」(平成19年、労働政策研究・研修機構)によると、新卒採用の社員が「最初に転職したいと考えた時期」は、入社後おおむね1年以内が52.5%と過半を占めます。
さらに、そのうち3カ月以内が17.7%、3カ月から半年くらいが11.2%となっています。入社から半年程度の間に、新入社員の3分の1近くは「辞めたい」と考えるわけです。
同じ調査で、辞めたいと考えた場合に、他者へ相談することで離職を思いとどまるケースが多いと報告されています。また、社内の相談相手としては、メンターや職場の上司、友人や同僚などが挙げられています。
そうしたことから、新入社員をサポートし、早期の離職を防ぐための環境整備が必要です。
新入社員と年齢や社歴の近い先輩社員は、社内ルールにまごついたり、身近な相談相手がなくて困った経験を、自らもまだ“皮膚感覚”として持っています。
そうした先輩社員が、会社や配属部署で直属の上司とは別に、新入社員の仕事の不安や悩みの相談にのったり、業務上のアドバイスを与えたりしてサポートするのがメンター制度です。
上司とは別の身近な相談相手が社内にいることで、新入社員は安心感が得られます。メンター役となった先輩社員にも、人に教えるという経験を通してマネジメントのスキルが身につくというメリットがあります。
キャリア・デザインの考え方では、人がキャリアを積んでいく過程において、次の3つの存在が必要とされています。
このように、本来の意味でのメンターは、優れた指導者的な立場の人を指します。
一方、前述のメンター制度におけるメンター役は、身近な相談相手となる、役職者ではない先輩社員のことです。
入社時にはさまざまな新入社員研修が行われますが、会社や仕事の実態が分からない状態では実感が持ちにくく、研修内容を消化し切れず聞くだけに終わってしまうことがあります。
そこで、入社から3〜6か月程度が経過し、会社生活に慣れ始めた時期に、振り返りの機会を設けるのがフォローアップ研修です。
フォローアップ研修にもいろいろなものがありますが、例えば次のようなテーマで話し合うワークショップ(体験型学習)形式が考えられます。
他者と語り合うことで、それまでの学びの理解を深めるだけでなく、セルフケア(自分の体調や心の状態を把握・管理すること)の効果も期待できます。
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