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『武士道』――ビジネスにも生かせる武士道精神7つのキーワード:藤沢烈の3秒で読めるブックレビュー
世界が日本に注目し始めた1899年、新渡戸稲造がアメリカで出版した『武士道』。キリスト教文化とは異なる日本独自の精神文化を紹介した。
1868年明治政府樹立、1894年日清戦争――。世界が日本に注目し始めた1899年、新渡戸稲造がアメリカで出版したのが『武士道』である。キリスト教を持たない東洋の国にも精神性の高い文化があることを、本書を通じて説明した。
7つのキーワード
武士道とは何か。新渡戸は7つのキーワードを使って解説している。武士道精神の根に当たるのが「誠」と「名誉」。常に誠意を持ち、命以上の価値を重んじていた。
この結果、勇気と忍耐からなる「勇」、周囲に敬意を払い続ける「礼」といった態度につながった。そうした人格をベースとして、仕える君主に対して敬意を示し(忠義)、敵も含めた他人へはフェアに接し(義)、貧しき人たちへの優しさを持った(仁)。
社会と他人への付き合い方に関する、精神の在り様こそが武士道なのであった。
武士道でビジネスを見つめる
個人主義が力を失いつつある今、社会をとらえるために武士道へ再びスポットが当てられるだろう。例えば誠、礼、義の視点からビジネスパーソンとしての自分の思想をとらえなおす。組織ではない武士道の論理から、ビジネスに新しく取り組めるはずだ。
著者紹介 藤沢烈(ふじさわ・れつ)
RCF代表取締役。一橋大学卒業後、バー経営、マッキンゼーを経て独立。「100年続く事業を創る」をテーマに講演・コンサルティング活動に従事。創業前の若者に1億円投資するスキームを企画運営し、話題を呼ぶ。「雇われ経営参謀」として500人以上の経営・企業相談を受けてきた。ブログに毎日書評を掲載し、現在1000冊超。
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