EPUB 3.0の電子書籍も作れる――新しい一太郎、スキャナ付き最上位版も
ジャストシステムは、ワープロソフト「一太郎」と日本語変換システム「ATOK for Windows」の最新版を発表。2012年2月10日に発売する。
ジャストシステムは、ワープロソフト「一太郎」と日本語変換システム「ATOK for Windows」の最新版を2012年2月10日に発売する。一太郎は電子書籍の規格EPUB 3.0に対応し、ATOKは市場で旬なキーワードをインターネット経由で辞書に自動更新するサービスを追加するなど、複数の機能強化を図った。
ラインアップは、一太郎がベーシック版(2万1000円)と、ベーシック版にヒラギノフォントを搭載したプレミアム版(2万6250円)、コンパクトスキャナ「一太郎ハンディスキャナ」などを同梱したスーパープレミアム版(3万4650円)の3点。ATOKがベーシック版(通常価格8400円)と複数の辞書や翻訳機能を搭載しているプレミアム版(同1万2600円)の2点。
製品名 | 価格 | 対応OS |
---|---|---|
ATOK 2011 for Windows[ベーシック] | 8400円 | Windows 7、Vista(Service Pack 2以上)、Windows XP(Service Pack 3以上) |
ATOK 2011 for Windows[プレミアム] | 1万2600円 | |
一太郎2012 承 | 2万1000円 | |
一太郎2012 承 プレミアム | 2万6250円 | |
一太郎2012 承 スーパープレミアム | 3万4650円 | |
花子2012 | 1万290円 | |
Shuriken 2012 | 5040円 | |
一発!OCR Pro7 | 1万290円 |
電子書籍の最新フォーマット「EPUB 3.0」に対応した一太郎
2011年版から、製品名に漢字一文字を加えている一太郎。2012年は、一太郎が美しい日本語の文化を未来へ継承していくために役立つ製品でありたいという思いから「一太郎2012 承(しょう)」と名称した。
機能面では、日本語固有の「段組」「縦書き」「ルビ」などの表現ができる電子書籍フォーマットEPUB 3.0の出力形式に対応したことが大きなポイントだ。これは日本語版電子書籍の普及を意識したもので、キャンペーンガールの桐谷美玲さんが出演するプロモーションビデオでも、一般人が一太郎を使って電子出版をする仮定を描いている。paperboy&coが運営する電子書籍マーケット「Puboo(パブ―)」とアライアンス提携をしており、今後電子書籍関連のキャンペーンを実施するなど、さまざまな取り組みを予定しているという。
インタフェース画面にも新機能を追加。以下4点のパレットを画面右側に搭載している。
- 文書編集パレット。章立ての長文編集時に目次や索引、連番、脚注、割注、ふりがなを付与できる
- 文字パレット。人名や地名、古典文学や文藝分野に用いられる「仝」「〆」「ゞ」「くの字点」などの特殊文字を入力できる
- 文字数パレット。目標の文字数やページ数を設定し、その達成度を棒グラフで可視化できる
- 調整パレット。行末の単語が途中で次の行にわたらないようにする「文字結合」と、段落の途中でページ分割させない「行結合」ができる
最上位版にはハンディスキャナが付いた
プレミアム版には、大日本スクリーン製造ヒラギノフォントを搭載し、統合グラフィックソフト「花子2012」、インターネットメールソフト「Shuriken 2012」、音声読み上げソフト「詠太2」を同梱。2012年からラインアップに加えたスーパープレミアム版はそれに、OCRソフト「一発!OCR Pro7」、Excelと互換性がある表計算ソフト「JUST Calc」、PowerPointと互換性があるプレゼンテーションソフト「JUST Slide」、一太郎のロゴ入りスキャナが付く。
先ほどのEPUB 3.0に対応したことに加えて、最上位版ではハンディスキャナも搭載した。コンテンツを作る際の資料集めなどでの利用を想定しているという。EPUBとスキャナの両面で電子書籍を作る環境を整える――というわけだ。
スキャナの寸法25×3×3センチ(長さ×横幅×高さ)約25センチ、重さ210グラム。スティックタイプの一太郎オリジナルモデルとなる。電源を入れて原稿の上をなぞる操作で、手軽にスキャンができる。用途に応じてカラー/モノクロ、600dpi/300dpiの切り替えが可能。
なおジャストシステムは現在、一太郎の事前予約をした人を対象に一太郎 承の刺しゅう入り「今治タオル製 オリジナルハンドタオル」などの特製ノベルティをプレゼントする「予約でゲット!キャンペーン」を実施している。
「たいどをにごす」は「言葉を濁す」か「態度をうやむやにする」か
2012年は、前身「KTIS」から数えてATOKのリリース30周年となる節目の年。最新版は、AS(Advanced Suggest:アドバンストサジェスト)と呼ぶ新エンジンを搭載したことで入力推測変換の精度を向上。加えて、Twitterやテレビなどで話題となっている市場の旬なワードを、人力で収集してインターネット経由で辞書を更新する無償サービス「ATOKキーワードExpress(エクスプレス)」を提供する。
新エンジンの搭載や推測変換辞書の拡充で、人名や地名などの固有名詞も冒頭数文字の入力で、推測候補として提示可能になった。入力の確定後も、例えば「オンライン」と確定した直後に「ショップ」や「ゲーム」といった推測候補が出てくるといった具合に、前文節の文字列に応じた推測候補を表示する。短い読みの入力から長い推測候補も提示するので、少ないキータッチで済む。
変換時の候補選択も、より素早くできるようになった。これまで、語幹の長さが異なる単語が候補結果に表示された場合は、語幹の長さごとに並べて表示していた。最新版は、頻度情報に基づき、2つ目以降の変換候補の並び順を調整。文節の区切り直しは、[0]キーの入力で文節区切りが異なる候補を提示できる。
誤った入力に対して正しい単語や慣用句を提示する校正支援については、全ての変換完了後に指摘していたところを、入力途中でも想定候補を提示する。例えば「態度をうやむやにする」と入力するつもりが誤って「たいどをに」と入力した場合、訂正候補として「言葉を濁す」「態度をうやむやにする」を提示する。
旬なキーワードを配信するATOKキーワードExpressは、ジャストシステムのスタッフが大きなニュースや注目の新商品の名前、公開予定の映画タイトルなどのキーワードを週に3回ほどの頻度で配信する。事前に登録をしておけば、ユーザーは自分がよく使うと想定する言葉のジャンルを選択して配信を受けることが可能。このサービスは今後、MacやAndroid版のATOKにも、順次提供していく予定だ。
この他30周年記念として、全商品に日本全国のおいしい名産品の名称を収録した「ご当地おみやげもの辞書」、英語表現が学べる「覚えて得する日→英ことわざ辞書」、今人気の個性的な名前を収録した「一発変換お名前辞書」を同梱する。
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