地味な「基本動作」がエラー率の低減につながる法則:説明書を書く悩み解決相談室(2/2 ページ)
今回は相談室はお休み。一見すると地味な作業のような基本動作が、説明書を書く上でも大切である、というお話をします。
それは卓球の試合を観戦していて思ったこと
最後に、今回この話を書こうと思ったきっかけについて記しておきます。
12月11日に私は新宿区で開催された卓球大会の団体戦会場にいました。本当なら試合に出たいところですが、この半年ほど膝を痛めていて激しい動きができないので今回は観戦のみです。そして、ある試合を見ていたとき、対戦する両者の動きが好対照なのに気が付いたのです。
赤いユニフォームを着たA選手の動作は全身が連動して動き、流れるように非常に滑らかなのに対して、青いB選手の動作は細かくストップモーションが入るかのようなギクシャクした感じに見えました。
どう見てもA選手の方が強そうに見えるし、実際試合進行もA選手がリードを保ち続けて危なげなく勝ちました。その試合を見ていてふと思うところがあり、私は隣で見ていたコーチ氏(実際に卓球のコーチをしているわけではないものの、卓球経験の長い実力者なので今回はそう呼びます)に聞いてみました。
開米 あのB選手、何だか動きがギクシャクしてますよね?
コーチ そうですね。あれだとどうしても球の軌道が安定しませんよ。凡ミス多いでしょう?
開米 素人卓球の延長でやってるみたいな。
コーチ そうでしょうね。友達同士のお遊びピンポンから始めて、まっとうな指導者に教えてもらわないままでちょっと上達するとああなる、という感じだと思います。お遊びピンポンだと地味な基礎練習やらないから、手打ちのクセが抜けないんですよ
開米 ああ、やっぱり……。
ちなみに私は卓球始めてまだ4年の初級者ですが、思い当たる節がありました。そういえば私も3年ぐらい前にプロのコーチに教えてもらったとき、ラケットの持ち方から足の運び方まで、素人卓球でやっている間は気が付かないような地味なポイントをいろいろと指導されました。その地味なポイントに気を配って地味な基礎練習を繰り返しした結果、確かにギクシャクを脱してスムーズに動けるようになった経緯があります。
……何だか地味地味ばっかり書いてますが、それぐらい、地味な基本動作がやっぱり重要だと言いたいわけです。卓球の試合を見ていてそれに気がついたとき、そういえば説明書を書く上でも同じことが言える、ということに思い当たり、今回の記事になった次第です。
そんなわけで、まとめの一言。「地味な基本動作を大切に」――何のひねりもないストレートなフレーズですが、やはりこれは忘れずにいたいと思います。というわけで付せん紙に書いてディスプレーに貼っておくことにしました。これならきっと忘れることはないでしょう。
それでは、次回はまた「相談室」へ復帰します。お楽しみに!
当連載では、「分かりにくい説明書を改善したい」というご相談を歓迎しております。「改善案のヒントがほしい」という例文があれば遠慮無く開米へお送りください(ask@ideacraft.jp)。今回のような連載での紹介は、許諾をいただいた場合のみ、必要に応じて内容を適宜編集したうえで行います。
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IT技術者の業務経験を通して「読解力・図解力」スキルの再教育の必要性を認識し、2003年からその著述・教育業務を開始。2008年は、「専門知識を教える技術」をメインテーマにして研修・コンサルティングを実施中。近著に『ITの専門知識を素人に教える技』、
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