「反対のもの」と対比づけて説明する:説明書を書く悩み解決相談室(2/2 ページ)
同じ文脈で複数の方法を説明する場合、例えば「AとBは反対のものなのか?」と問い直し、反対のものを対比づけて説明するという手法があります。
前ページの設問の解答例です。
意外に大したことないな、と思われたかもしれませんね。
そうです、大したことないんです。真ん中の「障害事象〜要因〜故障」というツリー構造の部分が書けていれば、後は上向きと下向きの矢印を引いてそれぞれちょっとした説明文を付けるだけです。
どちらかというと、その真ん中のツリー構造の部分を書く方が難しいかもしれません。
ここで注目したいのは、そのツリー構造の部分は、ボトムアップ・トップダウンの双方に共通する構造だということです。
反対のものを見つけて対比づけて説明しようとすると、こんなふうに両者に共通する構造が出てくるケースが非常に多いものです。そしてその共通する構造が見て分かるようにすれば、後は楽に書けるものなので、それを探してみてください。
何にしても、手掛かりは反対のものを見つけるところです。今回の事例では「FMEAはボトムアップ的手法、FTAはトップダウン的手法である」というように、この両者が反対のものであることを明記してある一文がありました。
しかし、こんなに分かりやすく反対を示していない文書もよくあります。そういう場合はそれを見つけること自体が最初のハードルです。難解な2つの概念を説明している文書があったら「これは反対のものなのか?」と問い直してみてください。それで方向が見えてくるケースは本当によくありますので。
当連載では、「分かりにくい説明書を改善したい」というご相談を歓迎しております。「改善案のヒントがほしい」という例文があれば遠慮無く開米へお送りください(ask@ideacraft.jp)。今回のような連載での紹介は、許諾をいただいた場合のみ、必要に応じて内容を適宜編集したうえで行います。
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IT技術者の業務経験を通して「読解力・図解力」スキルの再教育の必要性を認識し、2003年からその著述・教育業務を開始。2008年は、「専門知識を教える技術」をメインテーマにして研修・コンサルティングを実施中。近著に『ITの専門知識を素人に教える技』、
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