これだけはやっておきたい――入社までの内定者教育:経営者必読! いまどきの採用・教育・若者(2/2 ページ)
10月に入り、多くの会社が内定式を開いたことでしょう。人事担当者は内定式を迎えられたという安心と、一方で入社までの対応に不安を感じている人もいるかもしれません。今回は、入社までにこれだけはやっておきたい内定者教育について考えてみましょう。
2.実践的な内定者研修とは何か
みなさんが考える実践的な内定者研修とはどのようなものでしょうか? 人事の人が誤りがちなケースとして、内定者ゆえ講習や座学を中心に考えてしまいますが、それでは本当の意味での実践的な内容にはなりません。
私は25年ほど前、新卒でリクルートに入社することになりました。するとまわりの内定者は、つぎつぎと会社でほぼフルタイムで営業アルバイトを始め、社員同様に働くようになりました。当時のリクルートでは、内定者にも目標が与えられ、表彰もされ――というように、社員同様に働くことができました。
最初、他のアルバイトとの兼ね合いで週に1日程度しか参加出来なかった私は、かなり焦って負けじと頑張ったことを覚えています。
上記のように実際に営業をするということは若干ハードルがあるとしても、会議への参加やシステム開発の現場にいることや社内の生の情報に触れることは、内定者にとって意識の変化が見られるだけでなく、成長のきっかけにもなります。
私の実体験ですが、内定者に会社の状況が良くないタイミングで営業会議に参加してもらったことがあります。
「不安になる内定者も出るかな」と、多少心配しましたが、内定者の中には「私が立て直します」というような強い意志を持って、その後入社してきてくれたことを覚えています。
「内定者を会社の現場に触れさせて大丈夫か? 不安に思わないか?」という心配は無用です。仮にそう思われたとするならば、その内定者が入社した後も同じことを考え、結果、定着は難しい、と考えるべきではないでしょうか。
ですから、実践的な内容とは「手法」というよりも内定者が望めば、会社の一員として参加できる「環境」を用意することが必要だと実感しています。
いきなり最初からは難しいとしても、少しずつ参加できる環境を用意していくことを、お勧めします。(中尾英明)
※この記事は、誠ブログの入社までこれだけはやっておいた方が良い内定者教育より転載、編集しています。
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