本記事は、ブログ「EX-IT ExcelとITで効率化して、仕事と人生を楽しもう」より転載、編集しています。
4月1日から消費税が8%になりますが、5%と8%を間違えるとどうなるのでしょうか。
いつから何が8%になる?
まずは消費税の原則を、モノとサービスに分けておさえておきましょう。
モノ
顧客への引き渡し日が4月1日以降の場合、原則8%となります。なお、この「引き渡し」の定義は会社により異なり、「出荷した時点」「納品した時点」「検収の時点」とで考える場合がありますので、会社の基準を再度確認しておいてください。
サービス
サービスは、その提供が終了した日が4月1日以降であれば8%になります。以下のような特例がありますが、基本的にこう考えておけば大丈夫です。
次のようなものが特例となります。
- 3月までに買って4月以降に使う航空券(国内)→5%
- 3月16日から4月15日までの水道代→5%
- 3月までに買って4月以降に使う電車等の回数券→5%
(注)他にもあります。
消費税の「取引」と「納税」は違う
消費税について意識していただきたいのは、取引時と納税時です。取引時とは、請求、入金、支払などの時点で、4月1日から即関係してきます。納税時とは、決算月が終わり、原則としてその2カ月後に納税するときです。
例えば4月決算の会社だと、消費税8%の計算があり、6月末までに納税しなければいけません。少し余裕があるわけです。3月決算の会社だと、通常、来年の5月に納税すればいいことになります。データを見直して、考えるまたは修正する時間があるのです。
重要なのは取引時の消費税で、8%のところを5%にしていたり、5%のところを8%にしていたりすると、問題となります。この「取引」と「納税」は異なるものです。
間違えた場合どうなるか?
消費税の計算
消費税は、売上に対する消費税から仕入・経費に対する消費税を差し引いて、その差額を納めます。消費税5%の場合、売上が1,050(消費税50円)、経費が210円(消費税10円)なら、50円ー10円の40円を納めるのです。5%と8%を間違えると、この計算が異なってきます。
売上の場合
例えば4月10日にモノを105円で売った場合、消費税5%で考えていますが、実際に納税の対象となるのは、105円×8/108=7円の消費税です。
「いや、105円で消費税5%で売ったから、消費税は5円だよ!」といっても通用しません。きちんと108円受け取っていれば、消費税8円を納めて、100円が手元に残ります。しかし上記の事例だと、105円受け取って消費税7円を納めて、98円しか手元に残らないのです(実際は、仕入、経費に掛かる消費税を差し引いて納税します)。
売上の場合、8%の消費税をきちんと載せないと損してしまいます。取引時に気を付けなければいけないことです。
経費の場合
3月分の経費を4月に支払ったときは、消費税は5%になります。理想は、3月分の経費は3月に記録し、消費税を5%で処理すべきです。ただ3月分の経費を4月に記録する場合は、「支払った月」で判断し、8%と処理しがちです。
210円で消費税5%の10円のところが、210円を消費税8%の15円で処理してしまうと、納付する消費税が少なくなります。税務署としては、ゆゆしき事態です。納税時(会計処理時)に気を付けなければいけません。
まとめ
納税時の処理は、猶予がありますので後回しでも大丈夫です。ただし、請求があっているかどうかは随時確認しましょう。相手が5%だから、こっちも5%で処理すればいいというわけではありません。
相手がある取引時(特にこちらから請求する場合)に間違えないようにするのが先決といえます。あとから「実は8%でした……」と請求するのは、なかなか難しいでしょうからね。
筆者プロフィール
タイムコンサルティング代表取締役・税理士。会計ソフトfreee認定アドバイザー。総務省統計局勤務の国家公務員から税理士となった「ITと数字のプロフェッショナル」。Excelによる業務効率化を得意とする。日課は、早起き(4〜6時)、ブログ執筆、トライアスロンのトレーニング、料理、少々ゲーム。ブログは2007年7月9日より毎日更新中。
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