中国版PHS「小霊通」とは? 実際に買って試す(3/3 ページ)

» 2005年05月24日 21時28分 公開
[山根康宏,ITmedia]
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 電源を入れると、すぐに画面にアンテナが立つが実際に開通するのは2〜4時間後。なお、日本のように開通してから再度受け取るのではなく、未開通状態のまま渡されるため、時おり発信テストを行って開通されたかどうかを確認する必要がある。実際は開通時に上海電信よりいくつかのSMS(ショートメッセージサービス)が届いたので、それで開通を知ることができた。

 料金体系は、プリペイド方式の契約回線というもの。あらかじめ端末に金額を入れておき、そこから毎月の料金が引かれる。毎月かかる費用は基本料金44人民元(約570円)/月となる。この通話料金には、50人民元ぶんの市内(上海電信の管轄区内)無料通話料が含まれている。

 プリペイドの場合、市内通話は0.2人民元/分なので上記基本料金内で250分間の通話ができる。なおポストペイド契約ならば料金は1/3となり、さらにリーズナブル。着信料金も無料のため、まさに「移動できる固定電話」感覚だろう。

 そのほかの料金は以下の通り。

上海電信のプリペイド料金(単位は人民元)

料金
市内通話 0.20/分
国内長距離 0.07/6秒(0.04/6秒)
国際電話 0.80/6秒(0.48/6秒)
IP国内長距離 0.30/秒
IP国際電話 米国など2.4/分、日本など3.6/分
SMS 0.08/本
*カッコ内は深夜割引

 プリペイド購入した場合、残高がなくならないよう適時残高を追加する必要がある。残高追加には小霊通用のバウチャー券か、上海電信の電話カードが利用できる。上海電信の場合は端末から「96088」にダイヤルすることでサービスセンターにつながるので、ここで音声案内にしたがって残高確認や残高を追加できる。音声サービスは中国語と英語が用意されているため、外国人でも問題なく利用できるだろう。

残高追加用のバウチャー券。街中で売っている、上海電信のテレホンカードも利用できる

エリアの狭さがネックだが料金は魅力

 開通後、さっそく市内に出て小霊通を使ってみた。固定電話や携帯電話に通話テストしてみたところ、わずかなノイズが入るようだが十分使える品質だ。歩行中や車での移動中も、利用は可能。日本への発着信もテストしてみたが、特に問題なく通話できた。

 音声通話以外にSMSも利用できるが、SMSは小霊通同士か、中国の携帯電話との間でのみ利用可能。国際SMSは利用できない。

 一方、大きなビルやショッピングセンター内に入ると電波の入らないエリアが多いように感じた。エレベーター内に入ると、たいてい電波が切れてしまう。地下鉄も地上の入り口を入ってすぐに無電波状態となる。また上海の国際空港、浦東空港へタクシーで向かったところ、時速100キロの車中からは発着信が困難なこともあった。

 さらにいうなら、週末の夕方などは回線が混雑しているのか、アンテナが立っているのに発信しても「ツーツー」と接続できずに話中になってしまったり、通話中にすぐ切れてしまうこともあった。このあたりは日本でPHSが開始されたころと状況は似ている感じだ。

地下鉄駅構内は、電波が入らない。地下鉄車内でも当然利用不可

 上記のような状況のため、上海市内など都市部では、小霊通だけですべての通話をこなすのはやや難しいかもしれない。プリペイド購入できるのは旅行者向きだが、、訪問先や買い物先で常に使えるか分からないという不安もある。一方、地方都市ならば電波の障害物も少なく、地下施設も少ないことから小霊通を携帯電話代わりにもできそうだ。

 上海市内を歩き回ってみると、小霊通と携帯を両方使い分けている市民の姿も目にした。たとえば携帯電話に電話がかかってきた場合、着信料金がかかるので小霊通のアンテナが立っているのを確認し、相手に「こちらにかけなおして」と話すという具合だ。確かにこれなら、着信無料で長電話できる。また携帯電話はSMS用にして通話は小霊通で、という姿も見かけた。都市部では携帯電話と小霊通を組み合わせ、両者のいいとこ取りして使うのが賢い使い方のようだ。

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