データ通信インフラとしてのEV-DO海外リポート

» 2004年12月03日 13時01分 公開
[杉浦正武,ITmedia]

 CDMA2000 1x EV-DOといえば、国内ではauが採用する無線通信方式。下り最大2.4Mbpsの通信速度を実現するのが魅力で、auの定額制サービス実現にも一役買った技術だ。3G化の波に乗って、海外でもEV-DOのサービスを提供する事業者が登場し始めている。

 もっともそのサービス形態は、日本のそれとは少々異なる様子。具体的にどんな事業が展開されているのか、先日香港で開催された「3G World Congress & Exhibition 2004」会場で探った。

EV-DOの“2つの用途”

 そもそもEV-DOには、2つの用途が考えられる。1つは、ビジネスユーザー向けに「通信カードをノートPCに接続して利用する」タイプだ。

Photo PCカード型のEV-DO端末

 例えば北米では、Verizonがサンディエゴ、ワシントンDC、ラスベガスなど限られた都市でサービス提供している。料金は月額79.99ドル。ユーザーから見れば、通信環境にもよるが平均数百Kbpsの速度でデータ通信できるのが魅力。一方事業者側としても、高いARPUが保証されるうまみのあるサービスだ。

 もう1つは、「ワイヤレスDSL」として利用されるケース。日本では電話網が十分に普及しているため、電話回線を使ってデータ通信を行う“ADSL”がブロードバンド普及のキーテクノロジーとなった。しかし海外では、電話線などの社会的インフラが不十分な国もある。地方部や発展途上国などで、「ブロードバンドインフラを無線で敷設する」という発想でEV-DOが利用されることも多い。

 ラストワンマイルに無線アクセスを利用する、いわゆる「WLL」(ワイヤレス・ローカル・ループ)と呼ばれるネットワーク構築の手法。CDMAはGSMよりも周波数の利用効率がいいことから、WLLといえばしばしばEV-DOが利用される。

Photo PCの横に設置された、EV-DOの通信モデム。日本でよく見かけるADSLモデムのようだが、有線ではなく無線でオペレータのインフラと接続する
Photo 端末の裏側。PCとUSBケーブルで接続されていることが分かる

 以前紹介したように、WANにEV-DOを、LANにIEEE 802.11bを利用するようなワイヤレスルータモデムも製品化されている。LAN側の最大速度より、WAN側の最大速度のほうが低いという点が気になるが、海外ではこんなホームネットワークの構築も考えられるわけだ。

 通信モデムは、小型のものも用意されている。下写真は、欧州で初めて1x EV-DOを始めたEuroTelがチェコで提供しているカードサイズのモデム。外部アンテナも付属可能で、USBインタフェースでPCと接続する。

Photo カードサイズのCDMA2000モデム。一見何に使うのか分からない外観
Photo こちらはCDMA2000対応のルータモデム。手前に見えるのは、Wi-fi電話と無線LAN対応のノートPCだ

EV-DO向けアプリケーションは?

 それでは、この通信インフラでどのようなアプリケーションを利用するのか。ビジネスユーザー向けサービスなら、当然ながらWebブラウジングがメインになる。

 北米の家庭では、ティーンエイジャーの間でEV-DOによるオンラインゲームも普及しつつあるという。オンラインゲームはソフトによってはさほど高速通信を必要としないため、無線インフラでも十分楽しめる。

Photo 写真は、EV-DOモデムでXboxのオンラインゲームを楽しんでいるところ

 もう1つ、VerizonやSprintがテスト中のサービスがモバイルでのテレビ番組配信サービスだ。日本のように地上波放送の受信アンテナを搭載するのではなく、サーバ上にテレビ番組の映像を用意する形式。

 オペレータにサービスを提案しているNortel Networksによれば、「毎月5〜10ドルを追加で支払う形式なら、オペレータの収入増につながる」。もっとも、実際にどうなるかは未定。今後半年のうちには、北米で開始されるだろうとのことだった。

Photo モバイル端末でCNNを見ているところ。動画のビットレートは、256Kbpsだった

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

アクセストップ10

2026年04月06日 更新
  1. スマホ大型化の裏で高まる「小型音楽プレーヤー」待望論 現役ウォークマンか、“ポストiPod”のiPhone SEか (2026年04月05日)
  2. Suica、JRE POINTのキャンペーンまとめ【4月5日最新版】 チャージで最大2万ポイント還元のチャンス (2026年04月05日)
  3. WAON POINTやAEON Payのキャンペーンまとめ【4月4日最新版】 ポイント10倍多数、1万ポイント還元も (2026年04月04日)
  4. 楽天ペイと楽天ポイントのキャンペーンまとめ【4月3日最新版】 1万〜3万ポイント還元のチャンスあり (2026年04月03日)
  5. ソフトバンクが「今回もやる」とGalaxy S26を月額1円で販売――販売方法を早急に見直さないと撤退を迫られるメーカーも (2026年03月08日)
  6. JALモバイルに対抗してANAモバイルがついに登場――MVNEたちはJAL、ANAに続く「経済圏」を見つけ出せるか (2026年04月05日)
  7. 皆さん、パソコンやスマホを何で持ち運んでいますか? 私はリュックサックです (2026年04月04日)
  8. 選択肢が増えた「Starlink衛星とスマホの直接通信」 ドコモとauのサービスに違いはある? (2026年04月02日)
  9. 新幹線でも「音漏れ」気にせず映画に没頭 NTTの技術実装で 公共交通機関で初 (2026年04月04日)
  10. LeicaコラボのXiaomiスマホ「Leitzphone」、中国モデルはデザインと名称が異なる (2026年04月05日)
最新トピックスPR

過去記事カレンダー

2026年