ノキア・ジャパン社長のタイラー・マクギー氏とNokiaのアジア太平洋地域マルチメディアコンピュータ部門ディレクターのスティーブ・ルイス氏は6月28日、同社の日本市場への取り組みを説明し、合わせて同社の最新端末ラインアップを披露した。
ノキア・ジャパンの親会社に当たるフィンランドのNokiaは、世界中に8億人のユーザーがいる一大メーカーだ。W-CDMAネットワークを持つ、世界の58の事業者向けに端末を供給し、現在は端末を毎秒9台生産している。2005年は1年間で市場規模の拡大ペース(約24%増)よりも大きく出荷台数を伸ばし(約28%増)、グローバルでのビジネスは非常に順調だという。
しかし、マクギー氏は「1つの端末ですべてのユーザーに満足してもらえるとは思っていない」と話す。Nokiaは、世界の5万人以上のユーザーを対象に調査を実施し、携帯電話のユーザーがおよそ11のセグメントに分類できるとの結論を出した。各セグメントごとに異なるユーザーニーズが存在し、それぞれのユーザーが満足できるように、端末を4つのカテゴリーに分類して開発している。
4つのカテゴリーとは、Nokiaが6月19日にシンガポールで開催した「Nokia Connection 2006」でも発表された「Live」「Connect」「Achieve」「Explore」だ(6月20日の記事参照)。ビジネス向けの「Eseries」はAchieveカテゴリーに、コンシューマー向けの「Nseries」がExploreカテゴリーに含まれる。
このExploreカテゴリーに属するNseriesを担当するのがルイス氏だ。同氏は特にNseriesの「N70」が好調で、2005年第3四半期に投入してからおよそ1年で500万台以上を販売したことを紹介。「今や世界市場で最もポピュラーな3G端末」(ルイス氏)だと話す。
そんなNseriesの躍進からも分かる通り、2005年から2006年にかけての世界市場では、カメラやオーディオプレーヤー機能などを備えた“スマート”なモバイル機器の市場が急成長した。Nokiaでは、2005年に約5000万台程度だった市場規模が、2006年にはほぼ2倍の1億台に、2008年には2億5000万台規模に伸びると予測する。
ルイス氏はその理由の1つとして、インターネットの変化を挙げた。「コンシューマーユーザーのインターネット体験は、固定された場所(デスクトップPCなど)で、静止した情報(HTMLのページなど)を取得するという状態でスタートした。しかし、現在は携帯でのWebブラウジングも一般的になってきている。さらにWeb 2.0への移行が進んでおり、参加型、コミュニティ型のサービスが普及してきたことで、いつでもどこでもインターネットにアクセスできることが重要性を増している」
さらに同氏は、端末の性能が向上したことをもう1つの理由に挙げる。PC並みとはいわないまでも、音楽や写真の観賞、Webブラウズ、メールの送受信といった、これまでPCで行ってきた多くの機能は携帯でも実現されている。ルイス氏は「ユーザー調査を行った結果、44%の人は携帯のカメラを日常的に使っているといい、67%は携帯をオーディオプレーヤーとして使いたいと考えている。ユーザーは携帯のさらなる高機能化を望んでいる。今後もスマートモバイル機器にはさまざまな機能が追加されていくだろう。」と話し、高機能な携帯端末、MC(Multimedia Computer)が今後のコンシューマー向け端末の主力を担っていくと強調した。
ちなみにNokiaの考えるMCとは、SymbianのようなオープンOSを採用した端末で、前述の通りいつどこにいてもインターネットに接続が可能で、好きなサイトにアクセスでき、PC上でしか行えなかった作業の多くができてしまうもの。同社のラインアップではNseriesがそれに該当し、今後はハイエンドからローエンドまで、積極的に端末を投入していく意向を表明した。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PR注目記事ランキング