インタビュー
» 2007年01月05日 14時15分 公開

独自性を武器に2007年も成長を目指す──ウィルコム喜久川社長に聞くInterview(2/2 ページ)

[神尾寿,ITmedia]
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2.5GHz帯獲得競争でのウィルコムの優位性

 モバイルデータ通信市場を取り巻く環境を見渡すと、2007年はいよいよ「モバイルWiMAX」などモバイルブロードバンドの世界が動き出す。ウィルコムも2.5GHz帯の周波数獲得競争に次世代PHSの提案でエントリーしているが、この新たな通信ビジネスをどのように見ているのだろうか。

 「ウィルコムは(前身のDDIポケットから)PHSという技術を使って10年間、モバイルの(データ通信)市場を切りひらいた、その分野でやり通したという自負があります。いまだにノートPC向けのデータカード市場やスマートフォン市場では、他社に対して圧倒的なシェアを持っています。多くの既存ユーザーがすでにいるわけですから、(2.5GHz帯を使った)高速化通信のニーズに応えることには使命感を持っています」(喜久川氏)

 ウィルコムにはデータカードやスマートフォンの既存ユーザーが多い。だからこそ、「実際のユーザーが何を求めているのか。どういう使い方をしているのかがわかる」(喜久川氏)という。

 「ビジネスユーザーがノートPCを、いつ、どこで使うのか。価格帯はいくらなら受け入れられるのか。例えばビジネスマンが出張したら、どういう場所で使っていくのか。そういったことがリアルにわかります。次世代PHSはスピードを追い求めるのではなく、これらリアルなニーズに応えられるものものにしたい」(喜久川氏)

 2.5GHz帯の獲得競争が今後どのように進展するかはフタが開けられるまでわからないが、PHSを諦めず、ユーザーとともにモバイルデータ通信市場を作り上げてきたウィルコムだからこそ持つノウハウがあるというのは一理あるだろう。

法人市場でのウィルコムの勝算

 2006年、ウィルコムの堅実な成長に法人市場での強さが影響したのは言うまでもない。同社の音声定額は個人ユーザーのみならず、「小規模契約から導入できる音声定額」として法人ユーザーに好評だった。特に契約数100人以下の中小企業の法人契約案件では、「提案の最終段階でウィルコムに契約を取られた」(携帯電話キャリア関係者)というケースが少なくないという。

 しかし、2007年は携帯電話キャリアが法人市場の開拓と獲得にこれまで以上に力を入れてくることが予想される。規模で劣るウィルコムは、その中でどのような戦いをするのだろうか。

 「我々の強みは、繰り返しになりますが、(マイクロセルによる)密なネットワークです。音声定額は個人でもトラフィックが出ますが、法人でも大量に発生するわけです。企業の内線的な連絡も取り込もうとすれば、かなりのトラフィックになります。このトラフィック勝負で勝てるのが、ウィルコムの強みになります」(喜久川氏)

 さらにウィルコムの場合、法人名義の如何に関わらず、ウィルコム同士ならば音声定額が適用される。この効果はウィルコムの法人契約が増えるごとに増してきている。

 「ある会社がウィルコムに入れば、社内の通話が定額になるのは当然です。さらに関連会社や取引先がウィルコムに入れば、さらに(音声定額の)バリューが広がる。この完全定額が我々の強みです」(喜久川氏)

 一方で、法人市場でウィルコムの弱点だと感じるのが、「ネームバリューが(携帯電話キャリアに比べて)高くないこと」(喜久川氏)だ。携帯電話キャリアは多額のプロモーション費用を投じて法人市場の獲得に乗り出しているが、これにウィルコムが正面から対抗するのは難しい。

 「法人向けのプロモーションとして、(ウィルコムが)携帯電話キャリアと同じ額は出せないでしょう。売り上げの規模がまったく違いますから。ただ法人市場は、コマーシャルを大量に流せば契約数が増えるというものではない。

 大企業向けは法人導入の選定時に我々が参加できるようにする、中小企業向けでは様々な業界で認知度をあげていく必要があると考えています。特に後者は口コミの効果が大きいですね」(喜久川氏)

 ウィルコムとして純増数に占める法人契約の割合について、特に数値目標は定めていない。現在の純増数の配分は個人6割、法人4割だが、これが「予定調和としてはいい配分」(喜久川氏)だと話す。

 「個人6割、法人4割のペースで成長して累積していくと、契約者数全体でみてもいいバランスになると考えています。純増ベースで、この比率を堅持している携帯電話会社はありませんから」(喜久川氏)

 携帯電話キャリアの場合、法人契約の比率が上がってきているとはいっても、個人契約が純増の9割以上を占める。法人で強いウィルコムは、今年も続きそうだ。

独りよがりにならない独自性で、2007年も堅調な成長を目指す

 今回のインタビューは2006年の師走に行ったのだが、その際に2007年の展望も聞いた。

 「(2007年を迎えても)独りよがりにならない独自性が大切だと考えています。通信ビジネスの本質は、“規模の大きいところが勝つ”なんです。しかし、我々は小さい規模でも独自のネットワークとビジネスモデルを持てば、成長し続けていけることを証明したい」(喜久川氏)

 唯一のPHSキャリアとして、堅調な成長を続けるウィルコム。法人市場での好調はもちろん、それ以外の分野でも、同社の独自性の発露は見逃せない。世間の耳目はMNPの競争に集まっているが、2007年、もう1つの注目はウィルコムと言えそうだ。

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