好きなことで、生きていく――。最近、けん伝されるこのキャッチコピーは、確かにとてもまぶしく映る。
しかし好きを仕事にするなんて、才能も運も必要だろうし、ときに自分をいろいろな方向から切り売りしていかなければならないしんどさが透けてみえてしまう。
でもそんな気負いや衒(てら)いを一切感じさせず、ごく自然に、「したいこと」で生きている人たちもいる。
川内有緒さんの『パリでメシを食う。』(幻冬舎文庫)は、そんなふうにまっすぐに夢を追う、パリ在住の日本人10人を描いたノンフィクションだ。
川内さん自身は、この本の執筆に着手したころ、パリにある国連組織の正規職員だった。しかしその後すぐ、国際公務員という恵まれた待遇をあえて手放し帰国。ノンフィクション作家としてデビューした。その経緯は、著書『パリの国連で夢を食う。』(イースト・プレス)にも詳しい。
どんな未来を想像しても、それが自分の残りの人生だと考えると、どこか違和感を感じるのだ。(同書, P.232)
その思いがくすぶって、国連を退職してから5年。「書くことで生きていく」道を選んだ川内さんはいま、そのときの決断を振り返って何を感じていらっしゃるのか。夢に一歩踏み出した、“その後”を伺った。
日本の大学を卒業後、アメリカの大学院へ留学。卒業後はアメリカのコンサルティング会社、日本の大手シンクタンクに勤務。31歳のとき、パリに本部のある国連機関に転職。5年半勤めたあと、フリーランスに。現在は日本を拠点に、面白い人やものを探して取材してはしたためる日々。
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