藤原: その米国的なライフスタイルは、1980年代にほぼ手にすることができました。そして、日本には次の絵が必要でしたが、どの政治家もその絵を描くことができませんでした。バブル経済がはじけて、10年、20年が経っても描くことができず、沈滞が続きました。いまでもうまく描けていない部分があるのではないでしょうか。
土肥: 次の魅力的な絵を描くことができなかったのは、政治家だけの問題ではないですよね。
藤原: はい。自民党だけが悪かったわけでも、民主党だけが悪かったわけでもありません。官僚も次の絵を描くことができませんでした。なぜか。彼らは正解がある情報処理力は高いのですが、情報編集力が低いんですよ。
土肥: 情報編集力とは何でしょうか?
藤原: 先ほど20世紀は「成長社会」、21世紀は「成熟社会」という話をしました。成長社会のときは正解が必ずあって、それを速く正確に答える人が勝ち。一方の成熟社会は正解がひとつではなく、自分自信で世界観をつくらなければいけません。なにが問題なのか、どこに問題があるのか。そうしたことは人から与えられるのではなく、自分で設定しなければいけません。
また自分が納得し、他人も納得するような解でなければいけません。そのためには、知識・技術・経験などを組み合わせて、情報を編集しなければいけません。
土肥: 20世紀の教育はジグソーパズルのようだ、といった話をされました。ということは、21世紀は……。
藤原: レゴ型ですね。ジグソーパズルと違ってレゴはブロックの種類が少ない。ただ、組み合わせることで宇宙船をつくることができますし、動物園をつくることもできますし、街全体をつくることもできます。いま私たちが生きている社会は、この情報編集力が必要になっているのではないでしょうか。
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