「しまむら」が「ナチスのマーク付き商品」を売ってしまった理由スピン経済の歩き方(3/4 ページ)

» 2015年08月25日 08時00分 公開
[窪田順生ITmedia]

企業としてかなり危うい

 彼らは日々情報収集にいそしみ、世界のファッショントレンドを読み解き、商品分析を行って、「しまラー」なんて若い女性客が付くようなファッション性のある商品を生み出している。そんな情報感度の高い人々が、「ZARA」のナチス騒動なんて知りません、というのはちょっと考えづらい。

 むしろ、「ZARA」をバリバリ意識しているふしさえある。ご存じの方も多いかもしれないが、「しまむら」には「ZARA」のバッグと並べるとよく似ているバッグが売られている。若い女性からは、機能やデザインがより洗練されていて高く評価され、「ZARA風バッグ」なんて呼ばれて人気を集めているのだ。

 このような商品トレンドは積極的に取り入れる一方で、自社でも起こり得るミスは「他山の石」としない組織風土があるとしたら、企業としてかなり危ういのではないか。

 さらに問題なのは、このようなデザインにまつわる騒動が昨日今日始まったことではないことだ。実は2009年11月、「しまむら」は他社が製造をしているブランドのロゴを無断で使用したベストを2100着売ったとして問題になっている。

 「しまむら」は、ベストの生産を韓国メーカーに発注したところ、彼らが韓国で売られていたコピー品をそのままパクって納品したので、気づきませんでしたと釈明。「佐野研二郎デザイン」とうたいながらも、「スタッフがパクりましたので知りませんでした」という言い訳とよく似ている。

 「再発防止につとめます」と宣言した「しまむら」だったが、4年ほど経過すると再び同じような騒動が起きる。福岡在住の手芸作家さんのデザインをそのままコピーしたTシャツを販売し、ご本人の抗議で販売中止、回収をしているのだ。その約1年半後に今回のナチス騒動が発生している。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.