記事でも「そもそもマクドナルドに行かなくなった顧客はアンケートに答えない可能性がある」と指摘している通り、寄せられる回答は現在、「(利益に貢献しているか否かは別として)それでもマクドナルドを離れていっていない人達」という、いわば「身内票」に近い。それでは、離反していった、収益性も高い本来のターゲット層である多くのファミリー客からの意見を収拾することはできない。
また、記事では「寄せられる声の中には手厳しい意見が多い」とあるが、その意見をいうことを諦(あきら)めてしまった人はそもそもアプリを使ってまで意思表明をしないだろう。回答するのは「割引クーポン」という謝礼が多少なりともモチベーションになっているのは間違いない。だとすると、もっと数多くの「物言わぬ顧客(Silent Majority)が存在するはずだ。
さらに、もっと積極的に、離反客にリーチする方法を考え、その声までを拾って改善を行い、その離反客が安心して帰ってこられる環境が整うまでは、本格的な復活は難しいのではないか。
タイム誌が選んだ「20世紀の3代広告人」の1人である、レスター・ワンダーマンは、「成功するすべての会社が知っている20のルール」のなかで、「会社は聞くべきだ」ということを挙げている。彼は「あなたから話し続けるのではなく、語るのと同じくらい聞くべきである。そこに対話の鍵がある」と言う。ユニクロはもっと顧客の、離反客の声を聞くこと。マクドナルドは、同じく顧客と離反客の声を聞くことだが、それをもっと深く、さらに効く範囲を広げることが復活に向けた大きな課題であるといえるだろう。
(金森努)
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