「ユニクロ」と「マクドナルド」が、まだ復活できないワケ(2/3 ページ)

» 2015年09月03日 08時17分 公開
[金森努INSIGHT NOW!]
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期待できる地道な改善と身内票の不安

 2015年9月2日の日経MJの「戦略ネットBiz」のコーナーには、「マクドナルド、アプリで改善」「信頼回復へ顧客の声を聞く」という記事が掲載された。「日本マクドナルドが4月からスマートフォンのアプリを活用して顧客の声を集め始めた」ということだ。「吸い上げた声をリアルタイムで現場に配信し、各店長やアルバイトが改善に取り組む」という。

 具体的には「マクドナルドが導入したアプリ『KODO(コド)』は来店客がスマホからその店の商品提供のスピード、接客対応、店内清掃などを5段階で評価する。自由に記述して具体的な改善要望も送信できる。アンケートに答える際には個人名を入れなくてもよく、割引クーポンがもらえるようにし、顧客が協力しやすいように配慮した」とのことだ。

 記事では、クレームにつながりやすいトイレやごみ箱周辺の清掃に気を配るあまり見すごしがしちしだったテーブル周りの清掃状況に対する問題が浮かび上がってきたり、来店客からの要望で「荷物カゴ」が設置されたり、やはり「接客時に笑顔がない」などの意見が寄せられたという。それに対してマニュアルを見直したり、レジでの「ご来店ありがとうございます」のひと言を加えたり、荷物カゴを早速設置するなどの改善を行っているという。

 顧客の要望に真摯(しんし)に一つずつ応えるということは非常に大事だ。これがもっと早く行われていればという気もするが、現在の店内を思い描いて見ると、必ずしもこれだけでは復活は難しいように思う。かつての主力顧客であったファミリー層の姿はすっかり消え、低価格な飲料などで時間を潰す人や、PCを広げるサラリーマンの姿が多く見受けられる。この辺りの客層は客単価が低く、回転率も悪い現在、マクドナルドが低迷している一因を担っている顧客層といえるが、今、店内はそんな客で満ちあふれている。

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