「ユニクロ」と「マクドナルド」が、まだ復活できないワケ(1/3 ページ)

» 2015年09月03日 08時17分 公開
[金森努INSIGHT NOW!]
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 8月4日に発表したユニクロの7月の国内既存店売上高が、3年ぶりに2カ月連続のマイナスを記録したことに対し、「ユニクロ一人負け」と東洋経済ONLINEが絶妙なタイトルを付け多くの人が注目したが、ファーストリテイリングの柳井社長の目の中にはそんな足下のことより、もっと先が見えているようだ。

 2015年9月2日の日経新聞の朝刊では「ファストリ次へ」という連続もののコラムが始まり、そこには「ライバルはアマゾン」という見出しが躍る。「衣料品専門店として世界4位につけるが、グローバル戦略を支えるには国内は出店余地が狭まる」とある。やはり、海外戦略重視の方向性だ。

 しかし、記事では「柳井氏は20年に5兆円の目標を掲げるが、実現に欠かせない海外事業も思うように進んでいない」という現状も記されている。

 打開策として、アマゾンの名が出るようにネットを強化することが頭にあるようで、記事には「街中で見つけたオシャレな服をスマートフォンで撮影。自動で似た服を見つけ出し、本人用にサイズを調整した服を自宅まで直送する」という新しい通販の構想があるようで、そのための提携先として6月にTI基盤の構築のため、アクセンチュアと提携した。

 一連の記事で残念なのは、既存店、既存顧客に対する施策が全く語られていないことだ。『ユニクロはどこへ行くのか?』というコラムで紹介したように、昨今のユニクロはファミリー層ばかりになって「若者離れ」が激しい。若者が敬遠する理由は簡単。「高いから」。Airリズムにヒートテックなどに代表される高機能素材を開発し、多くの商品にそれを過剰なまでに取り入れた結果、商品単価がかなり高くなっている。

 やたらとフリース製にされ、価格も高くなったホームウェア。節電対応しとしても日本の多くの地域はそんなに寒くない。何でもヒートテック化していくのも同様に、高額化と「ヒートテックのタイツは熱くてオフィスではけない」というような声も。そこに顧客ニーズはあるのか。

 さらにこの秋には約10%の値上げを予定しているというが、それは顧客が払ってもよいと感じる価格(Customer Value)を越えてはいないか。柳井社長は消費者は自社の価格を理解してくれると豪語している。世界戦略もネット戦略も重要だが、国内の店に来ている客層の変化と、離反していった顧客の声は届いているのか。

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