土肥: 話は変わりますが、アップルのティム・クックCEOは「私はゲイであることを誇りに思っている」と言いました。いわゆるカミングアウト。
村木: そのことを知っている日本人ってどのくらいいるのでしょうか? まだまだ知らない人が多いと思うんですよ。
土肥: 一般的に知られていないことも問題だと?
村木: ですね。アップルのクックCEOは「自分はゲイである」とわざわざカミングアウトしたのに、日本ではあまり話題になりませんでした。なぜか。LGBTの話をすることは、自分のビジネスにとって“メリットがない”と思っている人が多いのではないでしょうか。逆に、ビジネスに悪影響を及ぼすのではないか、と不安を感じているようです。
そうした気持ちも分からないわけではありませんが、私は時間の問題かなあと思っています。アップルのCEOがカミングアウトして、会社の株価に影響しましたか? していませんよね。市場は、経営能力と性的指向は関係ないと判断したんですよ。当たり前といえば当たり前です。だから、株価は下がりませんでした。
「iPhoneはゲイのCEOが経営する企業の商品だから買わない」という判断をする人が日本にどれだけいるのか。「この商品のデザインがいいから」「この商品の機能がいいから」といった理由で、消費者は商品を購入する。そちらのほうが合理的だと思います。差別というのは、経済的に合理的でない判断をすることだと言えるのかもしれません。
土肥: アップルのような先進的な企業のトップが「自分はゲイだ」とカミングアウトしたことで、米国の世論が変わったのではないでしょうか。いわばヒーローのような存在の人がカミングアウトすることで、「おっ、あの人ってLGBTなのか。LGBTであっても、カッコいいなあ」という感じになって、見えない壁が崩れていったと思うんですよ。
村木: なるほど。
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