ソリューションセールスはもはや古いのか(2/3 ページ)

» 2015年09月29日 11時00分 公開
[猪口真INSIGHT NOW!]
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 私は1984年に新卒として入社したが、90年代半ばごろ、カラフルな資料を抱えて、さっそうとクライアントにプレゼンする先輩営業マンには憧れたものだ。

 組織の部署名にも、なんとかソリューション部などという名称が使われだしたり、営業なのに、何とかコンサルタントと名刺に肩書をつけたりしたのもこのころだろう。

 そのソリューションセールスがもはや通用しないとはどういうことだろう。

 ひとつには、ソリューションと言いながら、形を変えた製品提案でしかなかったことだ。極端な言い方をすれば、そもそも誰に対しても同じソリューションを提案していたということだ。相手がどんな課題を持っていようが、提案するものは決まっているのだから仕方がないといえば仕方がない。

 そうすると、ソリューションと言いながら、商品の売り込みに過ぎず、ソリューション提案=営業としか映らなくなる。

 なかには、「『当社の製品は御社の課題にはあてはまりません』と言えるのが当社の営業スタイルです」という意味のこと言う人もいたが、その次には「御社にとって最もふさわしいのが当社の製品です」となっていたからたちが悪い。

 クライアント側としても同様だっただろう。課題を知らないのに、どうしてソリューションとして提案ができるのかと根本的な疑問を持ちながらも、本当のソリューションが提案されるのかどうかわからないのに、事前調査と言われ貴重な時間をとられてしまうのは避けたいし納得もいかない。

 だからどうしても、ソリューションは何ですかと聞き、手っ取り早くミーティングから退散したくなってしまう。

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