2010年1月、JALが破たんした。訪日外国人客の増加などの影響を受け、直近の決算は絶好調だが、破たん前、社内はどのような状況だったのか。当時の状況を詳しく知る、同社・人財本部の野村直史部長に話を聞いた。前後編でお送りする。聞き手は、ITmedia ビジネスオンラインの土肥義則
→後編、本記事
土肥: 破たん前のJALはどのような企業文化だったのか? 答えは「ザ・縦割り」。隣の部署が何をしているのかよく分からない。いや、隣の席に座っている人が何をしているのかよく分からない状況だった。
前回はそんな社内事情をうかがったのですが、今回は「お金」の話を聞かせてください。破たん前の金銭感覚はどのような感じだったのでしょうか?
野村: 破たんして、自分たちに何が足りなかったのか。企業再生支援機構などの指摘もあって、「縦割りがよくない」ことが明らかになりました。そして、もうひとつの問題は「採算意識が足りない」ことでした。
破たん前、社内には「自分たちは公共交通機関の一端を担っている」といったムードが漂っていました。そのような誇りを感じていたので「公共的な仕事をしているので、利益ばかりを追求してはいけない」といった意識が潜在的にあったんですよね。その結果、どうなったのか。「自分たちは社会的使命を果たせている。安全に飛行機を飛ばすことができていれば、多少利益が出なくてもいいんだ」という具合に、採算に関して無頓着な体質になっていました。
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