メルシャンの担当者が、何度も何度も「ブドウ畑」に足を運ぶ理由水曜インタビュー劇場(ワイン公演)(6/7 ページ)

» 2015年10月28日 08時00分 公開
[土肥義則ITmedia]

農家同士の競争が生まれてきた

土肥: 農家さんからすれば、自分の畑でつくったブドウがどういったワインになるのか、興味があると思うんですよね。そういう意味では、仕込み作業を畑ごとにするのはいいことでは?

生駒: そうなんですよ。以前のように、まとめてどーんと仕込んでいたら、自分の畑でつくったぶどうがどのようなワインになったのか分かりません。なので、畑ごとに仕込みをして、農家さんにもテイスティングをしていただく。「自分がつくったブドウからこんな味のワインになったのか。来年はもっとおいしいワインをつくるようにがんばるぞ」と思っていただければ、うれしいですね。

土肥: 畑ごとに仕込むことで、農家同士の競争意識が生まれてきませんか?

生駒: 生まれてきていますね。先ほども申し上げましたが、テイスティングをしているので、「隣の○○さんの畑からできたワインはおいしいな。どのようにしてブドウを栽培しているんだろう?」と分析することができます。

土肥: いいブドウをつくられる農家さんに、何か共通点のようなものってありますか。

生駒: よく研究されていますし、勉強熱心ですね。

土肥: 生駒さんの話をここまで聞いていて、農家さんと一緒に“成長”することが大切といった印象を受けました。

生駒: いいワインをつくるためには、やっぱりブドウが大事なんです。「ワインの味の8割はブドウで決まる」とも言われていますから。こうしたことを理解してもらって、ご協力していただく。そのためにはどうしたらいいのか? 農家さんとの「コミュニケーション」が大切になってくるんです。

土肥: メルシャンは東京に会社があって、担当者はサラリーマンという立場。一方の農家は地方で畑を管理していて、収入は収穫の出来次第。表現が合っているかどうか分かりませんが、“住む世界が違う”両者がコミュニケーションをとるのは大変なのでは?

生駒: おっしゃる通り大変ですが、コミュニケーションは絶対に欠かせません。農家さんの気持ちを少しでも理解できるように、ある担当者はブドウ栽培をしているんですよね。自分の畑で新たな挑戦をして、うまくいったら、みなさんに「この方法はどうでしょう?」と提案しています。また、ある担当者はまるで家族のように農家さんと接しています。

出荷されたブドウ
たくさんのワインが熟成されている

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