メルシャンの担当者が、何度も何度も「ブドウ畑」に足を運ぶ理由水曜インタビュー劇場(ワイン公演)(1/7 ページ)

» 2015年10月28日 08時00分 公開
[土肥義則ITmedia]
ワイン市場が拡大している

 ビールや日本酒などの消費量が減少している中、ワイン市場が伸びていることをご存じだろうか。赤ワインに含まれているポリフェノールが健康維持に役立つことが注目され、1997年後半から赤ワインブームが起こり、日本のワイン市場は1998年に爆発的に拡大。ただ、その後はジリジリと縮小し、2003〜2008年は低迷していたが、リーマンショック後に再び反転。2013年、2014年は2年連続で過去最高を更新しているのだ。

 「ほー、それはスゴい、スゴい。カンパーイ!」とワイングラスを掲げたいところだが、市場規模の内訳を見ると、簡単には喜べない。2014年の数字によると、輸入ワイン7割に対して、国産ワインは3割にとどまっているのだ。「やっぱり、ワインは欧米が強いのか」と思われたかもしれないが、残念な話はまだ終わらない。実は「日本ワイン」に限定すれば、2%ほどにすぎないのだ。

 ここで「ん? 国産のワインって日本のワインのことだよね。どういう意味?」と感じられたかもしれないので、ネーミングのカラクリについて簡単にご紹介しよう。日本でつくられたブドウを使わず、輸入ブドウを使って国内で製造したモノを「国産ワイン」と呼んでいるのだ。法律で「原料は日本でつくられたブドウでないといけませんよ」といった規定がないので、スーパーやコンビニなどで“国産ワイン”が販売されているというわけ。

 でも、これでは分かりにくい。“シロ”か“アカ”か……いや、シロかクロかハッキリさせよう、と言ったかどうかは分からないが、数年前から各社は「日本でつくられたブドウを使って、できたモノを『日本ワイン』と呼ぼう」という動きが広がっているのだ。とはいえ、市場に占める割合は2%ほど。まだまだ“純日本産”の普及は難しいのかと思いきや、実は国内外から注目が集まっている。国際コンクールで数々の賞を受賞していることもあって、市場は右肩上がり。キリンホールディングスによると、2014年は前年比5%増の95万ケース(1ケースは750ミリリットルの瓶×12本)、2015年は100万ケースに拡大すると見込んでいる。

 日本産ワインが売れている背景を調べていくと、さまざまな取り組みが進んでいることが明らかに。例えば、メルシャン。自社で管理するブドウ畑は現在22.5ヘクタールだが、今年中に7ヘクタールを追加、2027年には60ヘクタールに拡大する予定だ。ただ単に広げるだけでなく、現地では簡単には真似できない動きが始まっていたのだ。具体的にどんなことを行っているのかを、同社・商品開発研究所の生駒元さんに話を聞いた。聞き手は、ITmedia ビジネスオンライン編集部の土肥義則。

(出典:メルシャン)
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