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» 2015年11月03日 08時45分 公開

「ベーコンやソーセージでがんになる」研究の伏線は20年前の「ホットドッグ戦争」スピン経済の歩き方(3/5 ページ)

[窪田順生,ITmedia]

1970年代から常に「容疑者」

 この背景には当時、米国で子どもの白血病や脳腫瘍が過去20年右肩上がりで増え続けいたことも大きいが、なによりも加工肉に使われるある物質が「がんを引き起こす犯人」として注目を集め始めていたことがある。

 亜硝酸塩(亜硝酸ナトリウム)だ。

 漬物や野菜に含まれるこの食品添加物は、ソーセージの発色剤にも使われているもので、これ単体では発がん性はないとされているのだが、1970年代から常に「容疑者」と目されてきた。

 きっかけは1970年代、ドイツで「魚と野菜を食べると胃の中で発がん物質ができる」という実験結果が報告されてから、魚に含まれるアミン類と、野菜の亜硝酸塩が反応するのではという「仮説」が唱えられてきた。それを裏付けるような研究がこの時期にちょいちょい発表されて注目を集め始めていたのだ。

 日本でも1995年10月に開催された日本がん学会総会で、国立衛生試験所病理部が亜硝酸塩を入れた水と魚粉で2年間ラットを飼育し、より多くの魚粉と亜硝酸塩を与えたラットが膵臓がんになりやすいという結果を報告している。

 1991年7月の食品法改正で表示にも登場するようになったということもあり、健康志向の強い方たちの間ではチェック対象の添加物になっている。食肉メーカー各社は、食品添加物は仮に毎日食べても安全な量が国際基準で定められており大丈夫ですよというPRを行ってきて今にいたる。例えば、ニッポンハムのWebサイトにも「よくある質問」として「発色剤(亜硝酸Na)の安全性に問題はないのですか。」という項目があり、以下のように説明されている。

 発色剤については、食品衛生法で食肉製品で用いられる亜硝酸根残存量は70ppm(1kgに対して0.07g)以下と使用基準が定められています。

 そんな業界側の反論もどこ吹く風で、研究者たちの「加工肉」研究はさらにヒートアップしていく。2005年になると、ハワイ大学の研究チームが、アフリカ系、日系、白人、ラテン系などさまざまなグループの男女19万545人の食事とすい臓がんの関係を調べ、加工肉を多く食べるグループは、あまり食べないグループに対して67%リスクが高いという結果を、米国癌学会議(AACR)総会で発表した。

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