われわれ一般消費者があまり気づかないだけで、ソーセージやベーコン業界はかれこれ20年以上も一部研究者から「がんの原因」という攻撃を受け続けてきた。そのたびに反論を繰り返してきたところへいよいよその「親玉」ともいうべき国際がん研究機関が参戦してきた。総力をあげて叩くのも当然だ。
遡(さかのぼ)れば1970年代、世界的に食品添加物が問題視をされていた時代から、ソーセージ、ベーコン、ハムなどの加工肉はちょいちょい槍玉に挙げられてきた。
しかし、新鮮そうなピンク色にしないと「まずそうだ」と売れない。防腐剤を入れないと日持ちも悪いし、独特の獣臭もする。なによりも、大豆や牛乳、血液の異質タンパク質などからできる増量剤を添付しないことには、低価格で大量生産するというビジネスがまわらない。
結果、「そこまで健康的じゃないけど、おいしいし安いし、そんなにバカみたいにたくさん食べるわけでもないから問題ないっしょ」というスタンスでのらりくらりと批判をかわしてきたのだ。
それがいよいよ劣勢に立たされてきたのが1990年代、健康志向が強まってきたことに加えて、加工肉をあからまさに「標的」とした研究が増えたことが大きい。なかでも大きなインパクトを与えたのが1994年に米国で勃発した「ホットドッグ戦争」である。
南カリフォルニア大学の教授たちが、ロサンゼルス地区の白血病の子ども約230人らを調べたところ、1カ月に12個以上のホットドッグを食べた子どもは、食べなかった子どもと比較すると9倍も白血病リスクが高まったというレポートを公表したのだ。
230人という調査対象者数の少なさにもかかわらず、反響は大きく、ロサンゼルス・タイムやテレビでも取り上げられて全米に飛び火し、業界団体がカウンターとして「反論パンフレット」を配布するような騒動にまで発展した。
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