私の慢心を打ち砕いたベンチャーコンテスト LaunchPadへの挑戦経沢香保子の「ベンチャー魂は消えない」(5/8 ページ)

» 2015年11月25日 08時00分 公開
[経沢香保子ITmedia]

いざ決勝の舞台へ

 Launch Padの審査は、書類選考2回、面接2回を経て、最終選考に進むことができる。130社くらいの応募のうち、13社が最後に残った。

 プレゼンの準備については、プレゼン技術についての本を数冊読み、何度も構成を練った。6分間で最大限伝えるために、サービス遷移を動画にしたり、セリフも全部書き出して、同じ言葉や変な言い回しをして時間を無駄にしないよう、すべて暗記した。そしてPC操作は社員に任せ、私は舞台の中心に立って、全身を使ってプレゼンするスタイルをとった。

Launch Padの最終プレゼン。緊張感でいっぱいだった Launch Padの最終プレゼン。緊張感でいっぱいだった

 最後は社員と一緒に前日夜から朝まで実に100回ぐらい練習を繰り返した。後からその社員本人に聞いた話だが、最初は私の態度が本気かどうかとらえどころがなかったが、あるとき感情のスイッチがカチッと入る瞬間を見た、と言っていた。だから、徹夜してでもとことん付き合おうと思ってくれたそうだ。

 当日のプレゼンの順番は最後だったので、直前まで資料に手を入れ、ぶつぶつセリフを繰り返していた。他の参加者のプレゼン技術はどれも素晴らしく、最新の映像技術を駆使した資料などもカッコ良かった。正直言って私たちの資料は拙いかもなと思ったりしたが、とにかく魂を伝えたい、それだけにとことんこだわった。

最終プレゼンの内容。緊張で声が震えているが、きっと思いも伝わるはずだ

 プレゼンはとても緊張した。冒頭は声が震えて会場をしーんとさせてしまった。でも、語りかけるように、来場している数百人の一人一人の目にできるだけ視線を合わせ、絞り出すように心から言葉に思いを乗せた。だんだん会場にいる人が前のめりになってきて、その場が一体になったような暖かさを感じた。制限時間の6分間はあっという間に終わった。

 周囲のプレゼンテーションやビジネスモデルがあまりにも素晴らしかったので、優勝できる自信はなかった。でも、やりきった感はあった。審査結果の発表では、なかなか名前が呼ばれなくて、入賞もできなかったのかと諦めかけたとき、最後に社名を呼ばれ、優勝が伝えられた。驚いた。そして思わず嬉しさを爆発させてしまった。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.