「タフじゃなければコンビニ経営はできない。優しくなければコンビニを経営する資格がない」……だけど、タフであり続けることも、優しくあり続けることも、簡単ではない。
ほとんどの人が一度は利用したことがある「コンビニ」。ニュースやデータからコンビニで何が起きているのかを、推理して、調査して報告します。筆者は大手コンビニの元本部社員、元コンビニオーナー。コンビニの表と裏を見てきた者だけにしか書けないコラムはいかがですか?
12月、コンビニにとっても年末年始は慌ただしい時期である。クリスマスからお正月にかけては期間限定の商品が多く、また入れ替えのタイミングも重要だ。
24日のクリスマスイブは、ケーキの受け渡しやフライドチキンの販売にてんやわんやとなり、25日の夜にはクリスマスから年末年始用の飾りと商品に衣替え。仕事納めの前に残業する人が増えるのを見越して弁当を多めに発注し、近くに神社があるような店舗は、初詣客を想定した準備をしておかなければいけない――。
このように、ただでさえ忙しく計画性をもって動かなければパニックになるような時期に、コンビニはさらに商売を広げようと画策している。「おせち」である。
今回は、コンビニおせちの販売戦略と商品展開について調査した。
お歳暮やボジョレー・ヌーボー、クリスマスケーキに年賀状印刷。これらは「予約獲得商品」と呼ばれ、秋口から申し込みの受付が始まる。これに加え、市場規模600億円とも言われているおせち戦線にコンビニが進出して、はや数年が経とうとしている。
ここで、大手コンビニのおせちを見てみよう。
セブン-イレブンは、乃木坂や銀座で店舗を展開している「日本料理 神谷」監修おせち(税込3万2400円)と、能登和倉温泉で有名な「加賀屋」監修おせち(税込2万3760円)。ファミリーマートは「ファミリーマートのこだわり おせち二段重」(税込1万8000円。お店渡し)。ローソンは「プレミアムおせち三段重」(税込3万3000円)など、各社はコンビニらしからぬ戦略でおせちを販売している。ほとんどの人は「コンビニといえば便利・お手軽」というイメージを持っていると思うが、おせちに関しては高級路線を歩んでいるのだ。
かつて、真空パックのこぶ巻や黒豆が紙のお重に入って5000円やら8000円といったおせちを売っていたとは思えないほどの方向転換である。
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