アディダスを抜いた? なぜ新参者の「アンダーアーマー」が老舗をおびやかすのか消費トレンドから見る企業戦略の読み解き方(7/7 ページ)

» 2015年12月24日 09時00分 公開
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 強みのウェア市場は、まだまだ成長が続くと考えられる。国内でアンダーアーマーというブランド名を見聞きする機会は増えつつあるが、先行ブランドと比べれば依然として認知度が低く、顧客層の拡大余地はまだまだ大きいと考えられる。

 さらに同社は次なる成長を目指し、シューズ(フットウェア事業)など商品領域の拡大にも注力している。

 ただし、懸念材料がないわけではない。

 トップアスリート戦略や機能面の追及で、スポーツ領域での優位性は維持していくと考えられるが、近年では、デスクワーク向けに開発された「PCスーツ」(デサント)など、コンプレッションウェアの活躍の場が日常にまで広がりつつある。スポーツ用品メーカーだけでなく、アパレル業界なども交えたコンプレッションウェア競争が激化すると、今の優位な立場に影響が出てくる可能性も考えられる。

 商品カテゴリーの拡大とともに、競技者が運動時も運動以外の時も常に寄り添えるように、既存のスポーツ領域から日常シーンに進出していくこと。こうした点が、同社の今後の成長を大きく左右するポイントとなるだろう。

 アンダーアーマーと日本総代理店を務めるドームは、「ドームいわきベース」(福島県いわき市)を拠点に、イベントや施設管理など新たなスポーツビジネスに取り組む準備を始めているとも言われている。こうした新規事業はどのように生活者に捉えられ、スポーツ市場の活性化につながるのか。今後の動きに注目したい。

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