独自性の高い商品の開発には成功したものの、身体に密着するウェアは、当時はまだデザイン面で抵抗を感じられることが多かったという。
しかし同社はあくまで「競技者への浸透」に狙いを絞り、実際に着用してその機能に満足したアスリートへの認知を拡大。彼らがメリットを感じて使い始めることで、ファンなどの一般消費者にも徐々に受け入れてもらう――という“トップアスリート戦略”を採用した。
とはいえナイキやアディダスに資金力で大きく劣っていたアンダーアーマーにとって、単にトップアスリート戦略にかじを切っても一筋縄にはいかないはずだ。その成功の背景には2つの戦略がある。1つは当然、競技者に認められるだけのハイレベルな品質・機能を持っているという点だが、それと同時にもう1つ重要なカギを握ったのが「先行投資」だ。
誰もが名を知るようなスター選手は、大企業であるナイキやアディダスがすでに押さえていることが多い。そのため、“下剋上”を狙うアンダーアーマーが自らの広告塔候補として注目したのは、若手などまだ知名度が低い選手たちだった。
その最も好例と言えるのが、22歳という史上2番目の若さで世界ランキング首位に躍り出たプロゴルファーのジョーダン・スピース選手だ。アンダーアーマーは彼のアマチュア時代から目を付け、契約したのはわずか19歳の時だったという。
アンダーアーマーはこうした先見の明で、可能性のある選手と若手のうちに契約を結び、彼らの成功とともにブランドとしても成長を遂げてきた。さらには、このような姿勢自体も同社の「新鮮」「積極的」といったブランドイメージにつながっているとも言われている。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PR注目記事ランキング