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» 2015年12月25日 08時00分 公開

恋愛ゲームで100億円! ボルテージが成長できた理由ノッている会社は、ここまでやっている!(3/6 ページ)

[上阪徹,ITmedia]

ゲームではなく、「ドラマ」であり「ストーリー」

 書籍の取材では、たくさんのスタッフやユーザーに取材をしたが、社内でもユーザーでも印象的だったのは、「ゲーム」という認識がほとんどないことだった。作られている、あるいは楽しんでいるのはゲームではなく、「ドラマ」であり「ストーリー」なのだ。

 背景にあるのは、プロデューサーとしてゲーム制作を牽引していた創業者で会長の津谷祐司氏が、ゲーム業界では異色の経歴を持っていることが大きい。津谷氏は東京大学工学部都市工学科を卒業後、大手広告代理店の博報堂に入社。主に空間プロデューサーとして活動していた。転機は、UCLA映画学部大学院への留学。米国でも超難関のトップフィルムスクールだ。映画好きだった津谷氏は休職、自費で留学をした。

 3年半の留学を経て帰国、ネット関連の新規事業を手がけていたが、やはり映画を作りたい、と起業。このとき作ったのがボルテージだった。その後、「映画製作のノウハウを生かして携帯コンテンツを作ってみないか」という提案を受けたのである。

 こうして超名門のUCLAで学んだストーリーづくり、キャラクターづくり、脚本づくりなどの映画のノウハウが、モバイルコンテンツに組み込まれるようになった。ボルテージの恋愛シミュレーションゲームは、"単なるゲーム"ではなかったのである。

 しかも、もうひとつ大きかったのは、一緒に起業した津谷氏の夫人で副会長の東(津谷)奈々子氏の存在だ。博報堂の同僚だった彼女は、もともとドラマ、映画、小説などの恋愛コンテンツが大好きだった。シビアなユーザー目線で、シミュレーションゲームを評価していくことができたのだ。取材では、こんな発言があった。

 「女をバカにしたような恋愛コンテンツは絶対に作りたくなかった。バーチャルに逃げるようなものではなく、リアルで、もっといえば人生哲学まで入ったもの。“女って、どう生きるべきか”というところまで踏み込んだ、恋愛コンテンツを作りたかった」

 女性向けのゲームだけに、特に男性は見たこともない、という人も多いかもしれない。実際に、大きくヒットしたものには、こんなゲームタイトルのものがある。

 『恋人は専属SP』『王子様のプロポーズ』『ダーリンは芸能人』『誓いのキスは突然に』『上司と秘密の2LDK』『スイートルームで悪戯なキス』『天下統一 恋の乱』……。

 ゲームタイトルだけ見ると、男性にはかなり強烈に見えなくもないが、女性にはそうではないらしい。恋愛コンテンツの“相場”は、男とは違うのだ。そしてボルテージは、あまりゲームをしないライトユーザーでも遊びやすいよう、ゲーム性以上にドラマ性を重視した設計で作っている。恋愛小説のように読み進めながら、ゲーム要素が盛り込まれているのだ。

副会長の東奈々子氏(左)と、会長の津谷祐司氏(右)

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