恋愛ゲームで100億円! ボルテージが成長できた理由ノッている会社は、ここまでやっている!(5/6 ページ)

» 2015年12月25日 08時00分 公開
[上阪徹ITmedia]

ゲームを作り上げる「仕組み」が確立

 他の恋愛コンテンツと違うのは、自分が主人公になれること。自分のアクションで結果が変わっていくこと。しかも、ユーザーをキュンとさせる工夫が、随所に盛り込まれている。女性にありがちな王道の心理選択をしても、必ずしもハッピーエンドにならなかったりする。ゲームによっては“彼”からメールが名前入りで届いたり、ゲームの中でも登録した名前で呼びかけられたりする。最初は名字だけだったのが、名前で呼ばれるようになったり、最後は呼び捨てになったりする、というのだ。

 こうした女心をくすぐる、ドラマ性のある恋愛シミュレーションゲームを、ボルテージは毎年6本から10本、市場に投入している。これほど次々とクオリティの高いゲームの量産ができるのは、ゲーム業界では驚異的だ。しかも、キャラクターもストーリーもオリジナルのゲームなのである。

 それを可能にしているのが、ゲームを作り上げる「仕組み」が確立されていることだ。実はゲームを作っているのは、20代を中心とした若い女性社員たち。だが、ドラマ作りやコンテンツ作りのトレーニングなど受けていない、ごく普通の大卒者たちだ。それでも、いきなり即戦力となれる「仕組み」をボルテージは作り上げてきたのだ。

 これは著書で紹介しているが、企画の考え方から、タイトルの決め方まで、教科書やフォーマットは幅広いプロセスに及び、実に50近くある。この「仕組み」と若い感性が融合して、ボルテージの恋愛シミュレーションゲームはできているのである。

 ボルテージのゲームは、個人でドラマを楽しめるタイプが69タイトル、スマートフォンでSNSコミュニティのユーザーと協力したり、競争したりして、アイテムを獲得しながらストーリーを進めていくタイプが21タイトルある(2015年11月末日現在)。

 前者のタイプはタイトルを月額300円で購入する。一度、購入すれば、あらゆる相手のキャラクターを選択して、何種類ものストーリーを楽しむことが可能。スマートフォンでは、キャラクター別のストーリーごとに、500円程度でダウンロードするスタイルのものもある。後者は月額は無料だが、アイテムの購入などは一部、有料になっている。

週1回、若手社員が社長や役員らの前で、新規提案などを行う

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.