恋愛ゲームで100億円! ボルテージが成長できた理由ノッている会社は、ここまでやっている!(6/6 ページ)

» 2015年12月25日 08時00分 公開
[上阪徹ITmedia]
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次の舞台は世界

 新しいチャレンジも始まっている。恋愛ゲームではないジャンルのストーリー性のあるゲームだ。サスペンスアプリ『六本木サディスティック騎士(ナイト)』は2015年11月に配信された。ボルテージの強みは、ストーリー性のあるコンテンツ。女性向け、男性向けを問わず、今後も新しい企画を狙っていきたいという。

 恋愛シミュレーションゲームで100億円もの年商を持つ会社は世界にはない。文字通り、恋愛ゲームで世界一の会社だ。すでにボルテージのゲームは英語に翻訳され、台湾、シンガポールなどでヒットしているものもある。しかし、ボルテージが狙っているのは、エンターテインメント大国、米国市場である。

 アジアの人たちは日本のアニメを見慣れている。だから、日本と同じイラストで十分に通用した。だが、米国ではそうはいかない。米国の女性は、心身ともにマッチョな男性を好む。絵のタッチも立体的なリアル絵を好むという。

 イケメンの定義も違う。日本ではオレ様、ツンデレが人気だが、恋愛に積極的な米国では、女性の扱いに慣れている強い男性や情熱的な男性が好まれる傾向にある。ストーリーも、より複雑で事件性があったりするもののほうがウケるという。

米国のロサンゼルスで開催されたアニメエキスポ。ボルテージのブースにたくさんの人が訪れた

 米国流の恋愛シミュレーションゲームをどうやって作り上げるか。ボルテージが決めたのは、現地に会社を作ることだった。しかも、とんでもない決断をしていた。米国進出となれば、社内で力のある幹部を米国に送り込むのが、普通のやり方。ところが、津谷氏、東氏という創業者夫妻が自らが現地に乗り込んだのだ。シリコンバレーに創業者家族が移り住んで2年。北米市場開拓は、着々と進んでいる。

 恋愛ゲームで日本の女性コンテンツマーケットを席巻したボルテージの戦いは今、舞台を世界に移そうとしている。

プロフィール:上阪徹(うえさか・とおる)

 1966年兵庫県生まれ。1989年早稲田大学商学部卒業後、リクルート・グループなどを経てフリーランスのライターとして独立。最前線のビジネス現場から、トップランナーたちの仕事論を分かりやすく伝えるインタビューを得意とする。雑誌や書籍などで執筆するほか、取材で書き上げるブックライター作品も70冊以上に。取材相手は3000人を超える。

 著書に『「胸キュン」で100億円〜恋愛ゲームで世界一。上場企業ボルテージのヒットのマニュアルとは?』『なぜ今ローソンが「とにかく面白い」のか?』『なぜ気づいたらドトールを選んでしまうのか?』『成城石井はなぜ安くないのに選ばれるのか?』『成功者3000人の言葉 人生をひらく99の基本』『職業、ブックライター。』『明日からやる気がでる 星空名言集』など。


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