北海道新幹線に援軍が続々……JRグループの総力戦杉山淳一の「週刊鉄道経済」(4/4 ページ)

» 2016年01月08日 08時00分 公開
[杉山淳一ITmedia]
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「貨物新幹線」構想が起動した

 北海道新幹線の新たな援軍は国土交通省だ。北海道新聞は1月1日に「青函に時速200キロ『貨物新幹線』検討 新幹線は東京へ最速3時間台」(関連リンク)と報じた。国土交通省、JR北海道、JR東日本、JR貨物なとが、新型の貨物新幹線車両を検討しているという。新型車両は旅客用のE5系、H5系を基礎とし、貨物用コンテナを積載可能。青森側と函館側に拠点を設けて、在来線貨物列車と貨物新幹線のコンテナをクレーンで積み替える。

 青函トンネルの貨物新幹線構想は2012年の国土交通省資料にも記載されていた。それがいよいよ起動した。2020年代前半の実用化を目指すというから、2016年から10年以内という目標を立てたようだ。2031年の北海道新幹線の札幌延伸に間に合う。

 現在、貨物列車は青函トンネルを時速110キロメートルで走っている。貨物新幹線は時速200キロメートルで走行し、スピードアップと積み替え時間のロスを補う。その結果として、旅客用新幹線は貨物列車に遠慮なく、時速260キロメートルで走行可能だ。これで東京〜新函館北斗間は最速で3時間44分。函館ライナー経由で函館駅まで約4時間となる。

 貨物新幹線は旅客用新幹線のスピードアップに貢献する。しかし、貨物新幹線自身も、応用すれば全国の新幹線と貨物鉄道ネットワークに大きな恩恵をもたらすだろう。この話も長くなりそうだ。次回、じっくりと考察する。

在来線規格の貨物列車が青函トンネルで北海道新幹線の速度を下げている 在来線規格の貨物列車が青函トンネルで北海道新幹線の速度を下げている
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