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» 2016年01月08日 08時00分 公開

杉山淳一の「週刊鉄道経済」:北海道新幹線に援軍が続々……JRグループの総力戦 (2/4)

[杉山淳一,ITmedia]

青春18きっぷが北海道新幹線を救う

 青春18きっぷ北海道新幹線オプション券の2300円は、青春18きっぷ1回分の2370円に近い。いっそ青春18きっぷ1回分で相殺してくれたらありがたかった。しかしそうはいかない事情がある。70円が惜しいからではない。受け取るおサイフが異なるからだ。

 青春18きっぷ本体の売り上げはJRグループ全体のおサイフに入り、各社に再配分される。配分方法は明らかにされていないけれど、全国で使用できるというタテマエだから、JR東日本が販売したからといって全額がJR東日本の売り上げにはならない。そうかといって、6等分では利用者が多い会社に不公平だ。恐らく、各社が管理する「在来線の距離の割合」などで配分されているのだろう。

 つまり青春18きっぷは、自社の利用者が少ないほどもうかる仕組みとも言える。だから青春18きっぷ利用者向けの臨時普通列車を走らせるといった経費はかけたくない。そして、自社エリアだけを利用してくれる人に対しては、青春18きっぷではなく、自社専用のフリーきっぷを買ってほしい。この取り組みは各社で実施している。特にJR四国はフリーきっぷが多く、私はJR四国の旅で青春18きっぷの時期を選ぶ必要を感じない。そうなると、青春18きっぷは「人口分布に応じて3大都市圏で主に販売され、JR北海道、JR四国、JR九州に配分される救済策」といった見方もできる。

 これに対して、青春18きっぷ北海道新幹線オプション券は利用エリアが限定される。JR北海道と道南いさりび鉄道だけに配分されるはずだ。北海道新幹線も当面は赤字と報じられてしまったし、道南いさりび鉄道も経営的に厳しい。青春18きっぷの通過特例に丸め込まれてしまうより、自分の分け前をしっかり確保できる方法としてオプション券がある。

 もし、津軽海峡線と道南いさりび鉄道が、青い森鉄道などの第3セクター通過特例と同じになったらどうなったか。青春18きっぷ本体の魅力アップで売り上げが増え、JRグループ各社の分け前が増えたかもしれない。それでも、JR九州、JR四国、JR西日本、JR東海、JR東日本はJR北海道の「オプション」化を許した。これは苦戦が予想される北海道新幹線への応援と考えられる。青春18きっぷの魅力アップというより、北海道新幹線に対するJRグループの総力戦といってもいい。

青春18きっぷで、青い森鉄道に追加料金なしで通過乗車できる 青春18きっぷで、青い森鉄道に追加料金なしで通過乗車できる

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