北海道新幹線に援軍が続々……JRグループの総力戦杉山淳一の「週刊鉄道経済」(3/4 ページ)

» 2016年01月08日 08時00分 公開
[杉山淳一ITmedia]

オプション券のアイデアは全国で使える

 ただし、オプション券のルールは、通過利用特例として分け前の一部を配分されてきた第3セクターにとっては複雑な気分だろう。道南いさりび鉄道が通過利用で乗車券を売るなら「うちもそうしてほしい」と考えてもおかしくない。今後オプション券ルールが各地に広がるかもしれず、これに対してJR側が「通過利用特例を廃止して新幹線利用を認める」という施策を取ることも予想される。また、三陸鉄道や智頭急行などは「青春18きっぷ利用者向けフリーきっぷも、道南いさりび鉄道のようにオプション券としてJRグルーブで販売してほしい」と思うだろうし、私もそうしてあげてほしい。

 青春18きっぷのルール改変は来年以降も続きそうだ。どんどんフクザツになっていく。青春18きっぷは国鉄時代からのヒット商品だけど、JRグループが青春18きっぷの魅力を上回る商品を開発できていないとも言える。鉄道の旅の入り口として分かりやすい商品がほしい。ここから先は以前の話に堂々巡りである(関連記事)

「北海道&東日本パス」は特定特急券で利用可能

 「北海道&東日本パス」は、青春18きっぷと同時期に販売されるフリーきっぷだ。普通列車自由席に連続する7日間利用可能。価格は大人1万290円、小児5140円。こちらも津軽海峡線に関しては青春18きっぷと同じく、蟹田〜木古内間のみ特急列車普通車自由席に乗車できる。こちらはさらに特例が追加されており、新青森駅〜函館駅間は急行券や自由席特急券を購入すれば、急行または特急列車に乗車できる。

 北海道新幹線開業後は、蟹田〜木古内間の特例は廃止。しかし、新青森駅〜函館駅間の特例は北海道新幹線利用に昇格される。新青森駅〜新函館北斗駅間について1490円の新幹線特定特急券を買えば利用できる。北海道新幹線の特定特急券はJR北海道の売り上げだ。北海道&東日本パスも北海道新幹線の魅力アップに貢献している。

 ただし、価格は若干の値上げで大人1万850円、小児5420円。道南いさりび鉄道は別途乗車券が必要だ。別途料金で北海道新幹線に乗れるとはいえ、道南いさりび鉄道区間は乗れない。利用範囲が減って値上げとなっている。

 別途乗車券を買えば道南いさりび鉄道内で下車できるし、道南いさりび鉄道がフリーきっぷが発売したら、青春18きっぷの通過利用特例と違って自由度が増すといえる。しかし、北海道&東日本パスのフリーエリアはJR東日本、JR北海道、青い森鉄道、IGRいわて銀河鉄道、北越急行が含まれている。もう少し値上げしてもいいから、道南いさりび鉄道もフリーエリアに含めてほしかった。

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