ココイチのカツ横流し事件、産廃業者の「ひとりでやった」が信用できない理由スピン経済の歩き方(2/4 ページ)

» 2016年01月19日 08時00分 公開
[窪田順生ITmedia]

「計画的フードロンダリング」の疑惑

 「ふーん、だからなに?」という声が聞こえてきそうだが、これまでの食の横流し事件に、実質的経営者が登場するケースというのは、往々にして「計画的フードロンダリング」であったからだ。

 例えば有名なところでは、ガビや農薬で汚染された事故米を横流し、食用米として売りさばいた「三笠フーズ」の事件だ。

 事故米を食用米としてロンダリングする流れを洗っていくと、「サン商事」という怪しい企業がハブとなっていることが浮かび上がった。米を保管する倉庫もない。代表者もよく分からないが、所在地は三笠フーズの非常勤顧問の自宅マンションとなっていた。つまり、サン商事はこの顧問が「実質的経営者」としてフードロンダリグに活用していたペーパーカンパニーだったのだ。

 もちろん、だからといってみのりフーズの実質的経営者もクサいなどというつもりは毛頭もないが、「製麺業」というわりには、この数年そのような事業を行っていないなどペーパーカンパニー臭が漂うのは事実だ。

 ダイコー社長との関係もしっくりこない。4年前に喫茶店で知り合ったということらしく、そういう形で親交が始まることもあるのでそれはいいとして、問題は「取引」が親密になっていった経緯だ。

 岡田氏によると、取引はチキンカツ10箱ほどを無償で受け取ったことがきっかけ。次第に物量が多くなり、「売り先はないか」と転売へと発展した。廃棄物との認識はなかったという。(岐阜新聞2016年1月16日)

 流通の世界には、古くから売れ残った在庫のことを指す「ヒネ物」という言葉もあるし、期限切れや廃棄品を専門に扱う「ガタ屋」(関西ではバチ屋)なんて人々も裏では暗躍しているというのは周知の事実だ。次々と壱番屋の業務用冷凍食品が持ち込まれるのを、食品関連会社の実質的経営者が「廃棄物という認識はなかった」と能天気に考えるというのは、さすがに無理がある。

 ただ、それよりも「ひとりでやった」が信用できないのは、過去の「横流し」ではだいたい複数の協力者が関わっていることが多いからだ。

みのりフーズの倉庫には、壱番屋のメンチカツ(上)とロースカツ(下)があった

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