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» 2016年01月23日 08時00分 公開

会社勤めをやめ、カフェを開く意味人と人、人と街をつなぐカフェ(2/4 ページ)

[川口葉子,ITmedia]

地元の街のために尽くす

 3年目を迎え、経営が軌道に乗って精神的にも余裕が生まれてくると、嶋田さんのビジョンに変化が起きたのだった。

あぶくりオーナーの嶋田玲子さん あぶくりオーナーの嶋田玲子さん

 「自分の満足ばかり考えてきたな、と気が付いたんです。これからはカフェをより充実させながら、地元の街のためにできることを考えていきたい」

 実は雑司ヶ谷のある豊島区は東京23区内で唯一、今後30年の間に20〜39歳の女性が半減する“消滅可能性都市”だと指摘されている。

 「成長して家を出た子どもたちが将来、故郷の街で暮らそうと帰ってくるとき、雑司ヶ谷が見る影もなく寂れていたら悲しいですよね」

 この街で働きながら子どもを育てていこう。生き生きとしたお母さんが多い、楽しい街にしよう。そんな理想に向かって踏み出すために2015年、界隈の女性たち4人で「good morning society」というチームを作り、東目白振興会の商店街の軒先に出店する小さなイベント「雑司ヶ谷 つくつくさんぽ市」をスタートした。

 嶋田さんたちは日用雑貨やアクセサリー、アートなどを制作している女性たちに声を掛けて屋台出店やワークショップ開催を勧誘し、一方で、東目白振興会の商店街の空いている軒先を見つけては場所借りの交渉をする。ワークショップは大人も子どもも気軽に楽しめるよう工夫されており、参加者、出店者、商店街の人々が交流を深めながら一日を過ごす。

 街の人々と一体となって企画・運営した第3回つくつくさんぽ市は、昨年12月20日に開かれて好評を博し、地元の経済を回すことにも貢献。当日は駅の改札そばに屋台を出して、散歩や買い物に訪れた人々に、さんぽ市マップとあぶくりのホットワインやほうじ茶を無償でふるまった。次回は今年春ごろを予定しているという。

 「親が街で生き生きと働いている姿や生活している姿を子どもに見せることも、彼らの成長にとって大事なことではないかと思っています」と嶋田さん。街の暮らし、街の人々への愛情に触れながら育つ子どもたちが、数十年後にこの街を支えることになるのだろう。

生き生きとしたお母さんがたくさんいる街に 生き生きとしたお母さんがたくさんいる街に

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