呆気ない形で喫した最後の2連敗。千秋楽のNHK大相撲中継では日馬富士に敗れた白鵬について次のような実況席のやり取りが聞かれた。
実況アナウンサー: こんな白鵬は見たことがないといった内容です。
正面解説・北の富士勝昭氏(第52代横綱): 白鵬らしくないねえ。気持ちが切れてる。
向正面解説・舞の海秀平氏(元小結): ケガとかそういうことではなく、気力が少し衰えているのかなと、モチベーション下がっているのかなと。もしかすると、この白鵬の目標というのは優勝とは違ったところに向かっているのかもしれないですね。
アナウンサー: というのは?
舞の海氏: 引退後のことですよね。そういうことも少しチラついてきているのかなと思ったりもしますよね……。北の富士さん、あの〜(自分の発言を聞いて)今、笑ってましたけども……。
北の富士氏: また(そういう発言をすると)怒られるぞ。ああ、そう……。しかし、またその……。(来場所以降の白鵬の)巻き返しがキツくなると思いますけれどもね。
白鵬はまだ現役を続けている身であり、ギネス記録にも認定されている史上最多の幕内最高優勝35回を誇る「平成の大横綱」だ。その他にも、ここに記せばキリがないほどに数々の記録を持ち、今場所13日目では鶴竜を送り出しで破って昨年11月に急逝した北の湖前理事長が持つ横綱最多670勝に肩を並べている。そういう観点から考えても北の富士氏が指摘した通り、確かに舞の海氏の発言は「不謹慎」あるいは「軽率」と物議を醸しても不思議のないような“失言”であった。
しかも、舞の海氏はメイン解説席の正面ではなく向正面とはいえ、公共放送の解説者の立場だ。ちなみにこの千秋楽の平均視聴率は、ビデオリサーチ社調べで関東地区が24.0%、関西地区で22.6%もの高視聴率を記録している。そのデータが示すようにNHK大相撲中継では多くの視聴者が自身の発言の向こう側には常にいることを十分に再認識してほしいと舞の海氏に対して切に願う。
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