例えば、記事で紹介されているグラフは、ガソリン価格の下落がスタートした昨年6月から始まっている。この期間だけを分析すると、確かに客数の伸びとガソリン価格はきれいにシンクロしているのだが、視野を広げるとやや違った構図がみえてくる。
この3年のガソリン価格の推移を見てみると、2014年7月にリッター160円超まで上昇したのを高値としてそこから下落し2015年2月の130円台まで落ち込んでいる。
これを「ガソリンが下落すれば、回転ずし屋の客が増える」理論に照らし合わせれば、2014年7月を境に記事中のグラフのように、前年同月比客数も右肩上がりになっていなければいけないところだが、現実はそうなっていない。
9月にガクンと落ち込むと、翌10月にはここ数年で最高の伸び率を見せる。かといってその翌月には再び落ち込むという乱高下を繰り返しているのだ。2014年7月の高値時から2割ほどお得になった2015年2月〜3月には前年同月比95%のラインをも下回っている。
つまり、くら寿司に限っていえば、客数の伸びとガソリン価格がシンクロしているのは昨年6月から今年1月までであって、両者の動きはさほど連動していないという見方もできるのだ。
なんてことを言うと、記事にイチャモンをつけているように聞こえるかもしれないが、先ほども申し上げたとおり、回転ずし業界の活況に、ガソリン価格が影響を及ぼしていることを否定するつもりは毛頭ない。
ただ、くら寿司の好調さを説明するのに、すべてをガソリン価格にもっていくのは無理があるということが言いたいのだ。
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