コンビニのレジで「現金の引き出し」は難しい、これだけの理由：コンビニ探偵！ 調査報告書（4/4 ページ）

[川乃もりや，ITmedia]

キャッシュアウト導入までのハードル

　キャッシュアウトの導入を考えた場合、店舗側にもハードルがある。レジ内現金の問題だ。いまはどのコンビニでも、防犯上の理由から多額の現金をレジ内に入れないようにしているし、支払時に1万円札を受け取るとすぐに鍵付きの専用保管庫に入れるなど、管理を徹底している。

　キャッシュアウトがコンビニで導入されれば、当然、レジ内に多額の現金を入れておく必要が出てくる。つまり、コンビニ強盗や内部不正などの犯罪が起こる可能性が高くなるのだ。

　多くのオーナーは「できればやりたくない」と思っていることだろう。しかし、チェーン本部がサービスを導入すれば、オーナーは拒否できないのがツライところだ。

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　コンビニは、独自サービスの少ない業態である。例えば、とあるコンビニチェーンが店舗でコーヒーを提供すれば他社もそれに追随する。新しいポイントカードサービスを導入すれば、どこのチェーンでも「ポイントカードはお持ちですか？」となる。お互いにマネしてマネされて、今のコンビニのサービスはでき上がっているのだ。

　1つのコンビニチェーンがキャッシュアウトを始めれば、確実に他社も始めざるを得ないだろう。「やれやれ面倒な時代になるなあ」と感じるオーナーも多いかもしれないが、残念ながら覚悟を決めなくてはいけない。

　さて、レジでの現金引き出しサービスを最初に導入するチェーンはどこなのか。コンビニで利用できるサービスが1つ増えるかどうか――かつてのコンビニオーナーとして今後の動きが気になるところだ。

著者プロフィール・川乃もりや：

　元コンビニ本部社員、元コンビニオーナーという異色の経歴を持つ。「タフじゃなければコンビニ経営はできない。優しくなければコンビニを経営する資格がない」を目の当たりにしてきた筆者が次に選んだ道は、他では見られないコンビニの表裏を書くこと。記事を書きながら、コンビニに関するコンサルティングをやっています。「コンビニ手稿」