ボルボの新型XC90は「煮詰まるまで待て」池田直渡「週刊モータージャーナル」(5/6 ページ)

» 2016年02月22日 08時00分 公開
[池田直渡ITmedia]

シートや自動ブレーキなどは進化

 と散々に書いたので、良いところも挙げておかないとフェアではない。一番感心したのはシートのできだ。今回ゼロから設計し直し、さまざまな改良が加えられたということだが、その言葉に偽りはない。ただし身長が低い人には座面後端の高さ調整が少し不足するかもしれない。シート座面はシートベルトの効力を高めるためにも、滑り台と逆に前上がりが理想だ。座面の角度を理想的に保つためには後ろ側がもう少し下げられるとより素晴らしいと思う。

 オートクルーズや自動ブレーキもブラッシュアップされていて、例えば、レーダーの測定距離が150メートルから200メートルに伸びたり、センサー位置がフロントウィンドーに移動したおかげでワイパーによって汚れなどからリカバーできるようになった。

 あるいは自動ブレーキの回避上限が時速50キロに上がったり、歩行者やサイクリストの検知が夜間でもできるようになった。XC90以前のモデルでそうした事故予防性能を高評価してクルマを購入した人にとっては、羨ましくなる部分が大きいと思う。

 インテリアの質感や仕上げもなるほど高級だ。試乗車は最上トリムのInscriptionだったが、車内のあちこちにウォールナットをあしらった、落ち着いていながら贅沢なものになっている。45万円のオプションながら英国B&W社の19個のスピーカーを使った凝ったオーディオも選べる。全体としてショールームで見たときの訴求力が高い。

運転席の環境は良好。今回の試乗車は全て最上級トリムのInscription(インスクリプション)では各所にウォールナットがあしらわれ、落ち着きがありながら豪華さが演出されている 運転席の環境は良好。今回の試乗車は全て最上級トリムのInscription(インスクリプション)では各所にウォールナットがあしらわれ、落ち着きがありながら豪華さが演出されている
多機能化が進むディスプレイの操作のため、物理ボタンのはん雑さを避けてタッチパネルで多くの操作ができるようになっている。走りながら操作したいときには望ましくないインタフェースだが、機能と操作性がせめぎ合う現在、最適解がまだ分からない 多機能化が進むディスプレイの操作のため、物理ボタンのはん雑さを避けてタッチパネルで多くの操作ができるようになっている。走りながら操作したいときには望ましくないインタフェースだが、機能と操作性がせめぎ合う現在、最適解がまだ分からない
曲面を描くウォールナットの手触りはなかなかのもの。19個のスピーカーはあちこちに配される 曲面を描くウォールナットの手触りはなかなかのもの。19個のスピーカーはあちこちに配される

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