オーナーが同居しない空き部屋シェアリングは規制強化せよ世界で80万以上の宿を提供(5/5 ページ)

» 2016年02月26日 07時30分 公開
[日沖博道INSIGHT NOW!]
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 しかし同じAirbnb利用でも、ホストが遠く離れた星の下で暮らしているような「まるまる貸し切り」タイプの場合、先に挙げた全ての問題(火事への備え、ゴミ出し問題、夜中の大騒ぎ)が生じる可能性は否定できない。

 しかも仮に犯罪者を連れ込んでいても誰もチェックできないのだ。法務局の人は「空港などの水際でテロリストも犯罪者も入国拒否できる」と強弁するだろうが、日本国内で罪を犯した人間が、警察に知られずにしばらくは逃げおおせる場所がいっぱいあるということなのだ。

 つまり日本での今のAirbnbの使い方はコミュニティーとしては全く望ましくないのだ。たとえ「民泊条例」に沿っていても本質的には同じだ。問題とすべき点は、「民泊条例」が気にしているような広さや衛生面ではなく、防犯・迷惑防止といった観点なのだ。

 ではどうすべきか。シンプルである。ホストが同居するタイプの部屋貸しは補助金を出してでも促進する。一方、ホストが同居しない「まるまる貸し切り」タイプの営業はかなり厳しく規制し、入口でのリモート監視・録画機能も必須とし、犯罪者や怪しげな連中を部屋に引き入れることができないようにするのだ。

 防火・衛生関係の条件と相まって大幅な設備投資を余儀なくされることは仕方ない。この規制を無視して無許可営業を続けるオーナーは粛々と摘発して罰金を徴収するのだ。

日本に居住しておらず、裁判所の通知・通告を無視し続けることになる外人オーナーたちも容赦する必要はない。罰金すら払わない場合、最終的には当該の不動産を競売に掛けて物納させればよい。彼らの大多数は賢いから、素早く不動産を転売するか、別の商売に鞍替えするだろう。TPP発効前なら、ISDS(国家と投資家間の紛争解決)条項に引っ掛かって国際的な問題になる事態は避けられるので、条例の修正を急ぐべきだ。(日沖博道)

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