ベンチャー企業がそっと消える理由(4/5 ページ)

» 2016年03月18日 07時56分 公開
[柳田善弘INSIGHT NOW!]
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チームの長所と短所

 プロ集団では難しかった規模拡大をめざした機能別組織ですが、役割分担とルール整備だけではうまく動かなくなってきます。なぜならば、プロ集団を組織化する場合、その役割やルールはプロ集団の成功モデルをもとにしているケースがほとんどですが、いつまでも過去の成功モデルが有効であるとは限らないからです。

 その対応として、チームづくりがあります。チームの長所は、現場のメンバーが個々人の仕事をルール通りに完遂するだけでなく、自発的に相互に働きかけ、お客さま満足の向上等の共通の目標達成をめざしていけることです。

 例えるならば、サッカーの試合で、選手一人ひとりがルールを守り、それぞれの役割を果たしながらも、声をかけあい身体を動かすことで、勝利という目的に向かって一丸となるイメージです。

 さて、チームの短所ですが、まず組織同様、チームづくり自体が成功するとは限らない、ということです。チームビルディングそのものについては、多くの専門家の方々が語っているのでここで多くは語りません。

 あえて私見を書くならば、組織はルール(含:罰則)によってつくることができる反面、チームは「自分たちがチームであろうという意志」をメンバーが持つことがとても重要であり、しかもそれは外部から強制することが難しいと考えています。

 チームを機能させる方法の1つが「理念」「ビジョン」「ミッション」といったものの設定と浸透でしょう。ただ、チームの短所の1つとして、これらに共感できないメンバーは居心地が悪く、結果的に去って行く可能性がある、ということも挙げられます。

 公式試合の優勝をめざすサッカーチームに、緩くサッカーを楽しみたいメンバーが一人いても、その人は居心地も悪く、いずれ去ることになるでしょう。これは、緩くサッカーを楽しみたいチームに、優勝をめざしたいメンバーが一人いても同じことが起こりえます。

 ただ、メンバーの多様性の尊重もケースバイケースであり、チームがチームとしてあるためには、めざすところが異なるメンバーが去ることは短所とは言い切れないかもしれません。

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