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レトルト食品を持ち歩く――。そう聞くと、「非常食なら分かるけれど、普段の昼食で?」と思う人も多いだろう。しかし、その固定観念を少し変えそうなアイテムが登場した。
ピーコック魔法瓶工業(大阪市)が開発した「レトルト専用魔法瓶」(4400円)だ。お湯で温めたレトルト食品を約5時間保温できるため、朝にセットしておけば、電子レンジや電源がなくても昼食時まで温かい状態で食べられるという。
この商品は、応援購入サービス「Makuake」で7月1日に先行販売を開始。目標金額10万円に対し、7月27日時点で支援額は75万円を超えた。気軽に手を伸ばしやすい価格とは言いにくい。それでも予想を上回る支援が集まったのは、なぜだろうか。
開発のきっかけは、ある社員の実体験だった。野球に打ち込む息子が、グラウンドで冷たい弁当を食べている姿を見て、「温かいものを食べさせてあげたい」と感じたという。そこから、「レトルト食品」と「魔法瓶」を組み合わせるアイデアが生まれた。
開発の過程で、想定する利用シーンは変わっていった。スポーツやアウトドアだけではなく、働く人にもニーズがあるのではないか、また「職場に電子レンジがない人」よりも、「電子レンジはあるけれど並ぶ人」のほうが多いのではないか、という視点にたどり着いた。
確かに昼休みになると、電子レンジの前に列ができる職場は珍しくない。温める時間は数分でも、待ち時間を含めると意外と長い。「電子レンジ待ち」は、多くの人が当たり前に受け入れている不便なのかもしれない。開発陣が目を向けたのは、そんな日常の小さな不便だった。
もう一つ見逃せないのが、レトルト食品そのものの進化だ。かつては「手軽に済ませる食事」というイメージが強かったが、最近では専門店監修のカレーや本格的な中華、おかゆ、リゾットなど、味もメニューも大きく広がっている。商品のバリエーションは大きく広がった一方で、食べ方はそれほど変わっていない。自宅で電子レンジや湯せんを使うのが当たり前だった。
つまり、この商品が変えようとしているのは、「どう食べるか」と「どこで食べるか」という発想だ。
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