だが、その一方で、シャープへの思い、特に、シャープ創業者である早川徳次氏に対する思いについて語る口調は、その豪腕ぶりとは趣が異なるものだった。
郭会長兼CEOは、スクリーンに早川氏の写真を映し出しながら、「シャープは、初のシャープペンシルの開発に続き、ラジオや電卓を開発。さらに、白物家電の参入などを通じて、長年に渡ってイノベーションを起こす企業であることを証明してきた。また、シャープは液晶ディスプレイ業界における生みの親の1社であり、今も世界の最先端を走っている。早川氏が生んだイノベーションに対する意思は、今でもシャープの社員の間に息づいている」と語り、「イノベーションのDNAがあるから、私はシャープが大好きである。シャープは、技術のイノベーターであり、リーダーとして果たしてきたことに敬意を表する」とコメント。
続けて、「鴻海は、どうしたらシャープのように、100年の歴史を積み重ねることができる企業になるのかを学んでいきたい。鴻海は今42歳。まだ先は長い。100年の歴史を積み重ねることは容易ではない」と強調する。
また、「シャープの技術者の多くには、不屈の精神がある。この技術者たちの精神が、シャープが良いときも、悪いときも支えてきた。私は、2012年に、堺ディスプレイプロダクトに出資したが、その間も、ディスプレイの技術を進化させてきたことには、尊敬の念を抱いている。イノベーションを続け、技術と品質に挑み続けている企業である」などと述べた。
シャープは経営信条に「誠意と創意」を掲げ、「創意は進歩なり、常に工夫と改善を」という言葉が、シャープ社員の間に浸透している。これがイノベーティブな文化を醸成するベースになっているのだ。
さらに、郭会長兼CEOは、「シャープといえば品質である」と語り、「中国科学院のフェローをしている私の友人は、米国での客員研究員の仕事を終えて、北京に戻るときにシャープの冷蔵庫を購入してきた。それが1986年のこと。30年後の今も問題なく動いている」というエピソードを披露した。
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