土肥: 人工流れ星を飛ばすことによって、小惑星帯にある物質データを取得できるかもしれない、ということですか?
岡島: はい。
土肥: 初期の太陽系の謎が分かることって、私たちにどのようなメリットがあるのでしょうか? はっ、すいません。さきほどから「メリット、メリット」って。
岡島: 地球上の生物って「宇宙から来たのではないか」という説があるんですよね。「自然の流れ星や隕石によって何らかの生物などが運ばれて、地球で繁栄していった」という説もあります。初期の太陽系の謎を解明することで、人類の起源がひょっとしたら分かるかもしれないんですよね。
土肥: ほー、そうなれば教科書の内容が変わる。
岡島: このほかにも人工流れ星を流すことによって、さまざまなことが分かってくるかもしれません。例えば、人工流れ星は、オゾン層の上、人工衛星の下にあたる上空60〜80キロメートルで光るわけですが、この高度って分かっていないことがたくさんあるんですよ。先ほどお話したのと同様に、人工流れ星の挙動からいろいろなデータを取得できます。そうすることによって、例えば天気予報の精度がアップするかもしれません。
土肥: おー、それはメリット、メリット。
岡島: 少し話はそれますが、人工流れ星を流せるようになった最初の段階では、流れ星が流れる方向は限られる予定です。右から左へだけとか、左から右だけとか。ですが、将来的には複数の人工衛星を配置したいと思っています。これが実現すれば、右からも左からも流せる……といった感じで、より自由に流れ星を発生することができるでしょう。自由に流せるようになれば、そこからデータを蓄積することができるようになるので、現時点では想像できないようなことが分かってくるかもしれません。
土肥: 人の手によって流れ星を飛ばせば飛ばすほど、いろいろな知見が貯まってくる、ということですね。私のような理系脳に乏しい人間からすると、人工流れ星が飛べば「わー、きれい。また、見たいー」といった感想で終わり。でも、宇宙や天文などを専門にされている人たちは、別の見方をされているわけですね。
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