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» 2016年04月21日 08時00分 公開

世界を読み解くニュース・サロン:潘基文の最大の功績は? 国連が変わるかもしれない (4/4)

[山田敏弘,ITmedia]
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どんな人が次の総長になるのか

 では今回、どんな人が次の総長になりそうなのか。現在、事務総長選には9人が名乗りを上げている。

 女性は4人で、ブルガリア出身で国連教育科学文化機関(ユネスコ)事務局長のイリナ・ボコバ、ニュージーランド出身の元首相で国連開発計画(UNDP)総裁のヘレン・クラーク、クロアチア出身で前第1副首相のベスナ・プシッチ、モルドバ出身で前第1副首相のナタリア・ゲルマン。

 男性は5人で、ポルトガル元首相で前国連難民高等弁務官のアントニオ・グテーレス、モンテネグロ出身のイゴル・ルクシッチ副首相兼外務・欧州統合相、マケドニア出身で元国連総会議長のスルジャン・ケリム、セルビアのブーク・イェレミッチ元外務大臣、スロベニアのダニロ・トゥルク前大統領だ。

 次期事務総長の候補者は今後も増える可能性がある。そして今回は、輪番で東欧出身者が選ばれるとの見方が強い。そういう理由から、現時点の候補者は東欧諸国の人たちが多い。そしてもう1つ、今回は史上初めて女性事務総長が誕生するという期待が高まっている。こうした見方を鑑みれば、現時点では、ブルガリアのボコバ、クロアチアのプシッチ、モルドバのゲルマン、の3人が最有力ということになる。

 ただ一方で、ニュージーランド出身のクラークへの支持が高いとも報じられているし、男性ならポルトガルのグテーレスが有力だとの報道もある。要するに現時点では、予想をするのがまだ時期尚早ということだろう。

 米ニューヨークタイムズ紙は、今回の新しい公聴会スタイルの候補者選びについてこんな指摘をしている。

 「多くの外交官たちが密かに、もし10年前に国連総会で今回のような公聴会が開かれていたら、彼(潘基文)は事務総長になれていただろうかと話している」

 だからこそ、10年前までのやり方はすぐにでも止めるべきなのである。そして皮肉なことに、「選出方法の改革」のきっかけを作ったという事実こそ、潘が残す最大の功績となる可能性がある。

筆者プロフィール:

山田敏弘

 ノンフィクション作家・ジャーナリスト。講談社、ロイター通信社、ニューズウィーク日本版に勤務後、米マサチューセッツ工科大学(MIT)でフルブライト研究員を経てフリーに。

 国際情勢や社会問題、サイバー安全保障を中心に国内外で取材・執筆を行い、訳書に『黒いワールドカップ』(講談社)など、著書に『モンスター 暗躍する次のアルカイダ』(中央公論新社)、『ハリウッド検視ファイル トーマス野口の遺言』(新潮社)がある。


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